【徹底解説】人気のフォートナム&メイソン 本店の楽しみ方

- 2023/1/30 8:00
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フォートナム&メイソンのロンドンピカデリー本店
Fortnum & Mason ピカデリー本店
photo by: kent_buyer (2022年7月撮影)


多くの紅茶好きを魅了してやまないフォートナム・アンド・メイソン(Fortnum & Mason)。
フォートナム・アンド・メイソンは、紅茶をはじめ、食品、テーブルウェアなどの高品質な商品を販売するイギリスの百貨店です。
長きにわたりロイヤルワラント(王室御用達)のステータスを取得しており、そのクオリティの高さは、イギリスに限らず世界的にも認められています。

最近では、コロナの影響により激減した中国からの観光客の売上を補うべく、世界最大の流通総額を持つアリババのTmall Global(天猫国際)の出店を始めたり、香港国際空港にアジア初のトラベルリテール(旅行者を対象とした小売事業)の店舗をオープンさせるなどのニュースが話題となりました。

今回は、フォートナム&メイソンについて、そして2022年7月にケントストアのバイヤーが、アンティーク家具・雑貨の買付に渡英した際に訪れたフォートナム&メイソン ピカデリ―本店の様子を、記録と共にご紹介します。
紅茶だけじゃない!フォートナム&メイソンの魅力が盛り沢山です。


大英帝国の誕生と同年!フォートナム・アンド・メイソンの誕生

フォートナム&メイソン ピカデリー本店のからくり時計
Fortnum & Masonピカデリー本店 2人の創業者のからくり時計 
photo by:hertfordstreet


」の創業者は、イギリス人のウィリアム・フォートナム(William Fortnum)とヒュー・メイソン(Hugh Mason)です。

ウィリアム・フォートナムは、スチュアート朝 最後の女王である”アン王女”にフットマン(footman)として仕えていました。
フットマンとは、貴族が乗る馬車を随行する仕事をしていた使用人のことです。
フットマンは”見せる”存在であったため、外見の良さ、脚の形が重要視されており、背の高いフットマンは背の低いフットマンより、優遇されていたそうです。
ウィリアム・フォートナムは、きっと高身長のイケメンだったのでしょうね。

ウィリアム・フォートナムは、フットマンとして仕えながら、副業として、王室で使用した余りの蝋燭(ろうそく)を売っていました。
当時の王室は、毎日新しい蝋燭を使用していたため、燃え残った蝋燭が余っていました。
ウィリアム・フォートナムは、そこに目をつけ、余りの蝋燭を回収し、それを庶民に売って稼いでいたのです。
そして稼いだ資金で、小さな店を借り食料品店を開きました。
その店の家主がヒュー・メイソンでした。
ウィリアム・フォートナムはヒュー・メイソンに、彼の今後のビジョンを伝え、二人で共同経営することを勧めます。
ヒュー・メイソンはそれに承諾し、店の共同経営者になりました。

大英帝国が誕生した1707年と同年、食料品店をロンドンのピカデリーに移転させます。
そして店の名称を「フォートナム・アンド・メイソン (Fortnum & Mason)」と改め、オープンさせました。
「フォートナム・アンド・メイソン (Fortnum & Mason)」の誕生です。

現在、イギリス・ロンドンにあるピカデリー本店の正面玄関の上には、毎時ごとに創業者2人の人形がお茶を運んでくれる”からくり時計”があります。
今では、ピカデリーのシンボルとなっており、街に優しい音色を響かせています。


高級食料品店へと発展

フォートナム&メイソンの歴史
当時のFortnum & Masonのイメージ
photo by:©Fortnum & Mason


ウィリアム・フォートナムは、アン女王のフットマンだった時の人脈、王室とのつながりを利用し、ビジネスを拡大させます。
フォートナム・アンド・メイソンは、小さな食料品店から王侯貴族に人気の高級食料品店へと発展していったのです。
その後もウィリアム・フォートナムの孫チャールズ・フォートナムがジョージ3世(1738-1820)の妻シャーロット王妃に仕えていたことで、更に信頼を獲得し評判も広まり、王侯貴族が足しげく通う食料品店になっていきました。

スコッチエッグを発明

フォートナム&メイソンのスコッチエッグ
Fortnum & Masonのスコッチエッグ
photo by:©Fortnum & Mason


1738年 ウィリアム・フォートナムは旅行者が簡単に持ち運べるおかずとして”スコッチエッグ”を開発しました。
固めにゆでたゆで卵をお肉で包み、パン粉をまぶして揚げるというスコッチエッグは、美味しくて満足感もあり、販売直後から人気が沸騰しました。
現在では「国民食」として親しまれているイギリスを代表する料理です。


紅茶の輸入販売スタート

ロンドンに到着した東インド会社からの紅茶
ロンドンの東インド会社のドックで茶葉の荷揚げをする様子
photo by:North Wind Picture Archives


1740年 ウィリアム・フォートナムの親戚が勤務していた貿易会社”東インド会社”を通じて世界各国から輸入した紅茶や中国茶、香辛料をイギリス国内に広めていきます。
香辛料はそのまま売るだけでなく、香辛料を使った食品を作り、販売しました。

素敵な贈り物 ハンパーバスケット

フォートナムメイソンのハンパーバスケット
Fortnum & Masonのハンパー
photo by:©Fortnum & Mason


イギリスでは“クリスマスハンパー”といって、素敵な休暇を過ごせるように「Have a happy holiday!」と想いを込めながら、よりすぐりの食材をバスケットに詰めて、大切な人へ贈る習慣があります。
日本でいうお歳暮のようなものです。
このハンパー(Hamper)もフォートナム&メイソンが発祥です。
ヴィクトリア朝時代(1837年~1901)、上流階級の間でピクニックが流行りだしました。
それに目をつけたがフォートナム&メイソン。
もともと旅行用の収納ケースとして販売していたハンパーでしたが、パンにバター、スコッチエッグ、チーズ、フルーツ、ケーキなどの食料品を詰め、オシャレなバスケットとして提供したのです。
これは瞬く間に広まり、ハンパーを持って出かけることが、貴族階級の人々のステータスとなりました。


ハインツのベイクドビーンズをイギリスへ

ハインツのベイクドビーンズをイギリスへ
ハインツのベイクドビーンズを販売
photo by:©Fortnum & Mason


1886年 缶詰製品の主導権をもっていたフォートナム&メイソンのもとに、アメリカからベイクド・ビーンズ缶詰の5箱分を持ってロンドンにやって来た青年がいました。
彼はヘンリー・ジョン・ハインツ(Henry John Heinz、1844年-1919年)。
あのトマトケチャップで有名なハインツ「Heinz」の創業者です。
フォートナム&メイソンは、ベイクドビーンズが主要食品となるいう確信があったのか、ハインツの持ってきた缶をすべて引き取り、ベイクドビーンズのイギリスでの販売を開始したのです。
今では、ベイクドビーンズの世界消費量の第1位は、本家アメリカではなくイギリスです。
イギリスのイングリッシュ・ブレックファーストには必ずといっていいほどベイクドビーンズがプレートにのってありますね。



王室御用達のフォートナム&メイソンとして

フォートナム&メイソンを訪問するエリザベス女王とキャサリン妃とカミラ夫人
Fortnum & Masonを訪問するエリザベス女王とカミラ王妃・キャサリン妃
photo by:©Fortnum & Mason


紅茶、スコッチエッグ、ベイクドビーンズなどを見てわかるように、フォートナム・アンド・メイソンは、イギリスの食文化に多大なる影響を与えました。
その後もフォートナム・アンド・メイソンは、食料品だけにとどまらず、ワインなど酒類、食器などのテーブルウェア、香水、衣料品、スポーツ用品、絨毯など幅広く展開していき、イギリスを代表する百貨店として成功をおさめました。
創業から300年以上、その間150年ものロイヤルワラント(王室御用達)の称号を持ち続けています。

現在は、カナダの有名なウェストン家が所有するウィッティントン・インベストメンツ(Wittington Investments Limited)が、フォートナム・アンド・メイソンの株式の約90%を管理しています。

日本では、2004年にフォートナム&メイソン ジャパンが設立されました。
現在は、バームクーヘンで有名なユーハイムが、日本でのフォートナム・アンド・メイソンの販売代理店となり、日本橋三越本店新館にコンセプトショップを開設、三越銀座店、そごう横浜店、大丸神戸店、三越福岡など日本中に店舗を広げています。


ピカデリー本店

フォートナム&メイソンのロンドンピカデリー本店
Fortnum & Mason ピカデリー本店
photo by: kent_buyer (2022年7月撮影)


いつも買い物客と観光客であふれ返っているロンドン一の繁華街、ピカデリー(Piccadilly)。
ピカデリーサーカス駅(Picadilly Circus)より徒歩3分。フォートナム&メイソン本店はあります。
2022年7月にケントストアのバイヤーが、ロンドンにあるフォートナム&メイソン ピカデリー本店を訪れました。
その様子を、記録と共にご紹介します。


ピカデリーのシンボル「ショーウィンドウ」

こちらは、ピカデリー通りから見たフォートナム&メイソン本店です。

フォートナム&メイソンのロンドンピカデリー本店
Fortnum & Mason ピカデリー本店
photo by: kent_buyer (2022年7月撮影)


こちらはショーウインドウ。
芸術的のディスプレイは、とても勉強になります。
季節に合わせて変えられるこのディスプレイは、ピカデリーのシンボルにもなっています。

フォートナム&メイソンのロンドンピカデリー本店のショーウインドウ
Fortnum & Mason ピカデリー本店
photo by: kent_buyer (2022年7月撮影)


デュークストリート(Duke Street St James’s)からの入り口。
そこを入ると、ウィリアム・フォートナムとヒュー・メイソンの創業者2人がお出迎えしてくれます。

フォートナム&メイソンのロンドンピカデリー本店
Fortnum & Mason ピカデリー本店
photo by: kent_buyer (2022年7月撮影)


グラウンド・フロアは紅茶の世界

日本でいう1階にあたるグラウンド・フロアは、フォートナム&メイソンの代名詞である紅茶がずらっと陳列されており、チョコレート、はちみつ、製菓材料なども置いてあります。

フォートナム&メイソンを象徴する色「Eau de Nil(オデニール:ナイルの水)」に入った紅茶の缶が、フロアを輝かせています。

フォートナム&メイソンのロンドンピカデリー本店
Fortnum & Mason ピカデリー本店 グラウンド・フロア
photo by: kent_buyer (2022年7月撮影)


こちらは、茶葉を量り売りをしてくれるコーナーです。
少量の50gを £3~£5くらいで、パックしてくれるので、さまざまな紅茶を楽しむことができますね!
またここでは、自分だけのオリジナルブレンドティを作ってくれます。
フォートナム&メイソンのティーブレンダーによる専門的な指導のもと、好きな茶葉をブレンドし、さらにティー缶に名前も入れてくれます。
世界に一つだけの、自分だけの特別な紅茶が作れるなんてうれしいですね♡

フォートナム&メイソンのロンドンピカデリー本店
Fortnum & Mason ピカデリー本店 グラウンド・フロア
photo by: kent_buyer (2022年7月撮影)


こちらは、チョコレートコーナーの数あるチョコレートの中から、ケントバイヤーおすすめのチョコレート。
フォートナム&メイソンのアールグレイを練り込んだダークチョコレートのガナッシュです。
アールグレイのフレイバーがとても上品でチョコレートとの相性が素晴らしかったです。

フォートナム&メイソンのロンドンピカデリー本店
Fortnum & Mason ピカデリー本店 グラウンド・フロア
photo by: kent_buyer (2022年7月撮影)


かわいいがいっぱい!食器とキッチン用品売場

「1ST FLOOR」は、日本でいう2階のフロア。
ここでは、バスケットのハンパーや食器などのテーブルウェア、ステーショナリーグッズが陳列されています。
フォートナム&メイソン独自デザインのカップ&ソーサー、プレート、カトラリーの他にも「ヘレンド(HEREND)」など高級陶器メーカーによる食器やクリスタルグラスもあります。

フォートナム&メイソンのロンドンピカデリー本店
Fortnum & Mason ピカデリー本店 1ST FLOOR
photo by: kent_buyer (2022年7月撮影)


フォートナム&メイソンのロンドンピカデリー本店
Fortnum & Mason ピカデリー本店 1ST FLOOR
photo by: kent_buyer (2022年7月撮影)


優雅な雰囲気に包まれた フレグランス&ビューティー売場

「2ST FLOOR」。
ここには、化粧品、フレグランス、香水、キャンドルなどがあります。
化粧品はオーガニックのスキンケア商品も多く扱っています。
また、はちみつや花を使って作られた石鹸など、パッケージも可愛いのでお土産にもおすすめです!

フォートナム&メイソンのロンドンピカデリー本店
Fortnum & Mason ピカデリー本店 2ST FLOOR
photo by: kent_buyer (2022年7月撮影)


英国紳士のたしなみ メンズアイテム

「3ST FLOOR」。
こちらは、男性用のシェイバーやクリーム、靴下、名刺入れ、バッグなどのファッション小物といったメンズアイテムが置かれています。
さらには、髭剃りコーナーに床屋コーナーも。
おすすめは、靴磨きサービスです。
靴を磨くと心も磨かれリフレッシュ。
新しい一歩が踏み出せそうな気がします。

フォートナム&メイソンのロンドンピカデリー本店
Fortnum & Mason ピカデリー本店 3ST FLOOR
photo by: kent_buyer (2019年撮影)


最上階にあるラグジュアリーなティー・サロン

アフタヌーン・ティーが楽しめるティーサロン。
フォートナム・アンド・メイソンの最上階にあり、ラグジュアリーな雰囲気たっぷりのサロンです。
ちょっとオシャレをして行きたいサロンです。
※予約必須です。

フォートナム&メイソンのロンドンピカデリー本店
Fortnum & Mason ピカデリー本店 ティーサロン
photo by: ©Fortnum & Mason


地下1階の生鮮食品売り場

地下1階は、精肉、鮮魚、ベーカリー、世界各地のチーズ、バター、ワインなどの高級食品売り場になっています。
どれもこれも魅力的な食品ばかりですが、今回はその中からいくつかのおすすめ品をご紹介します。

こちらは、クリームティには欠かせないクロテッドクリーム。
こちらのクロテッドクリームは、とても濃厚な味わいで自然な甘さとコクがあります。
日本では、なかなかフレッシュなクロテッドクリームと出会うことができないので、クロテッドクリーム好きにはたまらない逸品です。

フォートナム&メイソンのクロテッドクリーム
Fortnum & Mason「clotted cream」
photo by: kent_buyer (2022年7月撮影)


こちらは「SEA SALT BUTTER」。
シーソルトが入ったバターで、塩の旨味がアクセントになっています。

フォートナム&メイソンのバター
Fortnum & Mason「SEA SALT BUTTER」
photo by: kent_buyer (2022年7月撮影)


こちらは「MISO & SEAWEED BUTTER」。
その名の通り、味噌が入っています。
味噌とバターとの相性もよく、まとまった味になっています。
パンにつけて食べるというより、熱々のジャガイモにのせて、味噌じゃがバターとしてアレンジするのもいいかも。
酒の肴になりそうです。

フォートナム&メイソンのバター
Fortnum & Mason「MISO & SEAWEED BUTTER」
photo by: kent_buyer (2022年7月撮影)


こちらは「DATE&RUM BUTTER」。
日本でよくお見かけする”レーズンバター”をより濃厚にした味わいです。
パンに塗っても、そのまま食べても美味しいです。
これはかなりおすすめです♡

フォートナム&メイソンのバター
Fortnum & Mason「DATE&RUM BUTTER」
photo by: kent_buyer (2022年7月撮影)


地下と地上をつなぐ螺旋階段

地下と地上をつなぐ螺旋階段のディスプレイは、とても華やかで、色使いとそのシーズンに合わせたライブ感を、リッチにゴージャスに演出しています。

こちらは、エリザベス女王のプラチナジュビリーをお祝いしたクラッカーの演出です。
クラッカーには「HIP HIP HOORAY! ヒップ・ヒップ・フーレイ」と書かれています。
「HIP HIP HOORAY!」は、”万歳” や”それいけ”など、賞賛や喝采を表す掛け声で、イギリスで良く使われる表現です。

フォートナム&メイソンのロンドンピカデリー本店
Fortnum & Mason ピカデリー本店の螺旋階段
photo by: kent_buyer (2022年7月撮影)


こちらは、2016年6月にケントバイヤーがフォートナム&メイソンを訪れた時の様子です。
あじさいの花でしょうか。
階段がピンクに華やかに彩られています。

フォートナム&メイソンのロンドンピカデリー本店
Fortnum & Mason ピカデリー本店の螺旋階段
photo by: kent_buyer (2016年6月撮影)


こちらは、2019年8月に訪れた時の様子。
観覧車があり、まるで遊園地にいるかのような気分にさせてくれるディスプレイです。

フォートナム&メイソンのロンドンピカデリー本店
Fortnum & Mason ピカデリー本店の螺旋階段
photo by: kent_buyer (2019年8月撮影)



ピカデリー本店は、取り扱い商品にしても、ディスプレイにしても、お客様を飽きさせないような工夫がいっぱいです。
その空間にいるだけで、幸せな気持ちにしてくれる、心が満たされる、そしてまた行きたいと思わせてくれる、素敵なお店です。
300年以上もつづく理由がわかる気がしました。
ロンドンに行かれる際は、ぜひ行ってみてください♪

おすすめの紅茶

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イギリスの新しい発見をもとめて

ケントストアのバイヤーはアンティーク家具・雑貨をもとめて、イギリス全土を駆け巡ります。
今後もイギリスの魅力をたくさんお伝えしていきたいと思いますので、ぜひお楽しみに。
またケントバイヤーのインスタグラムもチェックしてみてください。
きっと新しい発見がありますよ♡

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