簡単!お手入れ紹介 Easy Care and Preservation

アンティーク家具をより永くお使いいただくための日々のメンテナンスや、補修方法をご紹介します。初心者の方でも簡単に実践できますので、アンティーク家具をより魅力的なものへとするために、是非実践してみて下さい。

①ワックス掛け

アンティークをより永く使うために、日常的なお手入れは欠かせません。 普段は柔らかい布での乾拭きをし、1~3ヶ月ごとにワックス掛けをすることで、艶を取り戻し、同時に表面の保護にもなります。

用意するもの
用意するもの

●アンティーク家具用ワックス
●布3枚 (ほこり取り用 ワックス塗り用 ワックス拭き取り用)
●ブラシ(歯ブラシでもOK)

step1
step1

まずはアンティーク家具についた埃や皮脂などを、乾いた布できれいに取り除きます。 彫刻部分の溝などは、ブラシなどを使い埃を吐き出してください。 よくふき取ることでワックスの浸透をよくします。

step2
step2

別の布にアンティーク家具用ワックスを適量つけ、刷り込むように塗ります。 全体的に満遍なく塗り、固まりが残らないように注意します。 アンティーク家具用ワックスは、着色されているため、手袋などを付けて塗ると手が汚れなくてお勧めです。

step3
step3

ワックスを塗った後、5分ほど放置し、木に浸透させます。 気温や湿度により時間は変化しますので、表面が白っぽくなる状態を目安にしてください。 時間を置きすぎると、拭き取りが困難になるので、ご注意ください。

step4
step4

表面が白っぽくなり乾燥してきたら、毛足のない綿布で、磨き込むように十分拭き取ります。 アンティーク用家具ワックスは小傷を目立たなくするためにステインが配合されています。 拭き取りを十分にしないと、ステインが衣類などに付着する場合がありますので、ご注意ください。

step5
step5

彫刻部分の溝などは、柔らかい毛のブラシでよくブラッシングし、余分なワックスを取り除いてください。 ブラッシングと毛足のない綿布での拭き取りを繰り返し、全体にワックスを馴染ませす。 拭き取りは磨き込むように行い、艶を十分に出します。出します。

ワックス掛けのポイント
○ここがポイント

彫刻の細かい部分は歯ブラシやブラシなどを使うとうまく塗ることができます。
ワックスを塗った後にあまり待ちすぎると固まってふき取りにくくなります。
余分なワックスがアンティーク家具に残らないように、よくふき取り、磨きましょう。
アンティーク家具用ワックスは着色剤(ステイン)が入っているため、拭き取りを十分行ってください。

②小キズのタッチアップ補修

テーブルの角や、チェアの脚などに、つい付けてしまったキズ。簡単に目立たなくする方法をご紹介します。

用意するもの
用意するもの

●マイランズタッチアップペン 各色
●布1枚

step1
step1

まずはアンティーク家具についた埃や皮脂などを、乾いた布できれいに取り除きます。 キズ部分をよくふき取り、きれいにします。

step2
step2

アンティーク家具本体の色よりも薄い色のペンから試し、徐々アンティーク家具本体の色に近づけていきます。 周りの色と馴染ませながら、目立たなくなるまで繰り返し行います。

小キズのタッチアップ補修の
○ここがポイント

木目に対して垂直方向の傷は、非常に目立つので、傷以外の部分に、はみ出して着色しないよう注意して行う。
傷部分が同じ色にならない場合は、本体より少し濃い目の色にすると比較的目立たなくなります。
大きな傷にはペンタイプは不向きとなりますので、塗料をお使いください。

③キズの補修

木肌が見えるほどの深いキズ。塗料を使い色合わせをする方法のご紹介です。

用意するもの
用意するもの

●ナイトロステイン シェラックニス ワックス
●布3枚 (ほこり取り用 ワックス塗り用 ワックス拭き取り用)
●筆2本(ステイン用とニス用)

step1
step1

まずはアンティーク家具についた埃や皮脂などを、乾いた布できれいに取り除きます。 彫刻部分の溝などは、ブラシなどを使い埃を吐き出してください。

step2
step2

傷部分を綺麗にし、ステインを使い着色し、本体の色に近づけます

step3
step3

布でふき取りながら、ステインでの着色を繰り返し、キズ部分が目立たなくなってきたら、表面を十分に乾燥させます。

step4
step4

ステインが乾燥したら、シェラックニスを他の部分になじむように塗ります。 シェラックニスを塗ることで塗膜をつくり、光沢を出します。

step5
step5

シェラックニスが乾燥しましたら、ワックスを塗り、全体に馴染ませます。

キズの補修のポイント
○ここがポイント

この方法はアンティーク家具修理の基本的方法ではありますが、ステインとシェラックニスの性質と使用法を理解したうえで行ってください。
使い方によって表面を溶かしてしまい、家具を傷める恐れがあります。

④金具取り付け

金具を取り付けるネジ穴が効かなくなってしまった場合の処理方法です。

用意するもの

step1
step1

一度ネジをはずします。

step2
step2

爪楊枝を穴に差込み深さを確認します。えんぴつで印を付けておくとわかりやすいです。

step3
step3

爪楊枝の長さを、計測した深さに合わせてを切ります。

step4
step4

爪楊枝にボンドをたっぷりつけ、穴に差し込みます。

step5
step5

ボンドが十分乾いてから、ネジを入れます。

金具取り付けのポイント
○ここがポイント

爪楊枝を刺したまま、カッターで飛び出している部分を切らないでください。アンティーク家具の表面を傷をつけてしまう場合があります。
穴が大きいときは、爪楊枝の本数を増やしてください。
これはアンティーク家具に限らず、一般の家具にも使える修理方法です。

⑤輪染みの補修

水をこぼしてしまった、熱いカップを置きっぱなしにしてしまったら白い染みができてしまった。。そんな輪染みも、簡単に補修することができます。

用意するもの
用意するもの

●ファニチャークリーナー
●きれいな布

step1
step1

まずはアンティーク家具についた水滴や埃や皮脂などを、乾いた布できれいに取り除きます。 彫刻部分の溝などは、ブラシなどを使い埃を吐き出してください。

step2
step2

布にファニチャークリーナーを少量取り、白くコップ跡がついてしまった箇所に木目に沿ってこすります。 ファニチャークリーナーは研磨剤なので、強くこすりすぎると塗装表面を傷めてしまうことがありますので、様子を見ながら十分注意してください。 最後にきれいな布で、ほこりや研磨剤が残らぬようにきれいにふき取ります。

輪染みの補修のポイント
○ここがポイント

ファニチャークリーナーと塗料の相性が悪いことがあるため、作業を始める前に目立たない部分で試してから進めてください。

<ご注意>

この手法は伝統的なアンティーク家具の修理方法ではなく、白いにごった部分を細かい粒子で削り、目立たなくする一時的な対処法です。必ず跡が消えるというものでもなく、作業法・力の入れ加減・研磨剤の種類によって、こすった部分が曇ってしまったり、逆に光沢がでてしまったり、塗装自体が剥げてしまう場合がありますのでご注意ください。
少しでも作業や修理後の状態に不安がある場合は、一度ケントアンティークまでご相談ください。

⑥引き出しの調整

引き出しが硬くなってしまった場合、昔からの手法が効果的です。

用意するもの
用意するもの

●市販の建具用ロウ(またはロウソク)
●布

step1
step1

アンティーク家具本体から引き出しを取り出し、埃を取り除くために乾拭きします。 引き出し側面と側面の板の上下にロウをたっぷり塗ります。

step2
step2

引き出しの底部分など、木と木があたる部分にロウを塗ります。

step3
step3

ロウが木部に十分付着し、白くなる位たっぷり塗ります。 最後にざっと全体を布で拭き、きれいにしたら完了です。

引き出しの調整のポイント
○ここがポイント

塗るときはロウの粉が木目に残るぐらいにしっかりと塗ってください。

<ご注意>

アンティーク家具に限らず、無垢で作られている家具は湿度が高くなると木が膨張し、乾燥期には収縮します。
そのため梅雨の時期など、引き出しが出しにくくなることがあり、そのような時期にロウを塗ることで引き出しやすくなります。
安易に削ってしまうと冬などの乾燥時期にスカスカになってしまうので注意が必要です。
どうしても木を削る必要がある場合は一度ケントアンティークまでご相談ください。