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23rdアニバーサリー企画『MYLANDS 塗装総合ワークショップ』イベントレポートをお届け

23周年アニバーサリー企画の中の一つ、アンティーク家具の塗装のノウハウをお伝えするワークショップを開催しました。 2025年10月12日(日)、 アンティーク家具ケントストア静岡本店 のケントファクトリーにて「MYLANDS 塗装総合ワークショップ」を開催しました。 2002年10月にスタートいたしました(株)ケント及びケントストアは、今年で創業23周年を迎えます。 23年目の今年は、3月にケントストア静岡本店、工場(ケントファクトリー)のリニューアルオープン、4月のケントサロン東京の新規オープン、そして今月、ケントストアホームページとオンラインショップのリニューアルと大きな節目の年となりましたため、創業月の今月、『ケント完全リニューアル感謝祭』として10月11日(土)~26日(日)まで、各店舗で様々なイベントを開催しております。 なかでも工場(ケントファクトリー)と併設しておりますケントストア静岡本店では修理や製作、お菓子作りなどのワークショップやセミナーを7種類も開催! 本日は12日(日)14時~行いましたMYLANDS 塗装総合ワークショップの模様をほんの一部ですがお届けしたいと思います。 まずはMYLANDSについて ケントストアでは、アンティーク家具を修理する際の主な材料はすべて英国より直輸入しております。 塗装におきましては、英国内のアンティーク家具修復用塗料・ワックスの分野においては最大のシェアを誇り、本場英国のアンティーク家具修復士も絶大な信頼を寄せるMYLANDS マイランズ社の塗料を使用しております。 マイランズ社は、1884年創業の老舗塗料メーカーで、数多くの英国家具メーカーやアンティークディーラーから支持されているだけでなく、BAFRA(英国アンティーク家具修復協会)からも、アンティーク家具修復における最適な塗料として推奨されています。 またマイランズ社の塗料やワックスは英国王室からも認められ、1985年からは英国王室御用達となり、伝統と歴史あるウィンザー城や博物館でもメンテナンスとアフターケアに使用、信頼を受けています。 マイランズ社のステインやワックスの品質を実感していただける場ともなるはず。 今回のワークショップは、木工修理後の塗装の工程を一連の流れでご覧いただきます。 木工修理を終えたベントウッドチェアに着色(ステイン)をし、ニスをかけ、最後はワックスで仕上げる…という塗装の工程を詳しく解説しながらデモンストレーションいたしました。講師はケントファクトリーの職人が務めます。 ステインで着色 本来、木は酸化することで自然に濃い色になっていきます。その経年変化がアンティーク家具の魅力となっていくわけですが、繰り返し修理して未来永劫に残していくためには木工修理の段階で表面を削らなければならない工程が出てくることがあります。 また、塗装をやり直し、最後に塗膜を作ることで木の乾燥やキズ、汚れから守り直すこともできます。 そのように前にされていた塗装をはがした後は、木の質感を損なわずに年季を出すことができるステインを塗布します。 ここでは刷毛で塗布するときの、ケントファクトリーの職人ならではの裏テクも。 開始直後はお座りになっていらしたお客様も間近でケントファクトリーの職人の手先をご覧くださりはじめました。 刷毛でステインをまんべんなく塗布した後は、しっかりと拭きとっていきます。 マイランズ社のステインは、油性のオイルステインではありますが、早く乾くように、また現代の塗料(ラッカーやウレタン)との相性も良いように開発されておりますので、乾燥時間があまり必要ありません。 ニスで塗膜をつくります ニスで塗膜を作るには刷毛で塗布する方法と布製のパッドで何層も重ねていくフレンチポリッシュの方法があります。 今回はこのフレンチポリッシュの方法をデモンストレーション。 マイランズ社のニスは手作業によって作られた最高級の天然シェラックを原料に使い、溶媒のアルコールの品質にもこだわった最高級のポリッシュです。 ステインとの相性も良く、特にアンティーク家具らしい仕上げになる=現代の塗料では出すことのできない温かみのある色・艶・風合いを出すことができるのが特徴です。 布でくるんだパッドをつくり、そのパッドにアルコールで薄めたニスをしみこませ、余分なニスをたたいて落としたあと、撫でるように塗っていきます。 日本ではタンポ擦りといわれていて漆塗りでも行われている技法ですが、薄く重ねていくことで、しっかりと塗膜が作られます。 マイランズ社のシェラックニスはどのようなニオイでしょう?? 塗り残しがないか、ライトを当ててお客様にも確認していただきます。 何層にも重ねていくと艶が出てきました。 お客様に表面感を実際に触ってご確認いただいています。 仕上げのワックスがけ、プロのかけ方を伝授 ニスの塗布が終わりました。ここからは家具を美しく保つためのワックスがけについてプロの仕上げ方をデモンストレーションいたします。 アンティーク家具用ワックスを塗ると塗膜(ニス・ラッカー)が保護されいつまでも美しい状態をキープしていただけます。 ワックスを塗ることで艶を出し、木材に対しても栄養と潤いを与え、塗装部分にも膜ができ、傷や水気から家具を守ってくれます。 こちらマイランズ社のワックスは1880年代から変わらぬ製法で製造され、原料には最も純度が高く硬度のある『天然のワックス(蜜蝋、カルナバ蝋、シェラックワックス)』を原料に使用しており、 その中でも特に高級なカルナバ蝋を多く含んでいます。 天然植物からとれる蝋の中でも、ヤシ科のブラジルロウヤシの葉からとれるカルナバ蝋は、艶・光沢・硬さに優れており、他の油性原料をまとめる硬度調整の機能が高い蝋です。ブラジルロウヤシは、ブラジル北東部に生息するヤシ科の木で「生命の木」とも言われているとか。 マイランズ社のワックスはその質の高さと汎用性の高さが、100年以上経っても修復士に愛用される理由です。 マイランズワックスについてのブログはこちら ワックス専用ブラシ(刷毛)でワックスをまんべんなく塗布していきます。 ワックス専用ブラシはケントファクトリーのアレンジで生まれたもので、その使い勝手の良さをお伝え。 最後の磨き上げもブラシで仕上げます。靴を磨くように力と心を込めてブラッシングします。そうするとツヤツヤに!   ステインを塗ってみたいけど、下処理はどこまでやったら良いの? ニスを塗るときにはどうやったら厚ぼったくならずに塗れるのか? ワックスをかける頻度はどのくらいがベスト? 今回ご参加いただいたお客様は、日頃からアンティーク家具をとっても大切にしていらっしゃるご様子で、ご質問もたくさんにいただき、職人も流れるような手つきで工程を進めながらお話をたくさんさせていただき、大変濃い1時間20分でございました。 塗装の工程を知っていただくことで、ご自身のアンティーク家具に何が必要か?を見つけていただけるケントファクトリーのワークショップでございます。 今週末18日(土)にも開催いたします。ぜひ、皆様ご参加くださいませ!!   オンラインショップでのマイランズはこちら   ケントストアより 最後に 12日に開催いたしましたモリスの壁紙やMYLANDSの塗装ワークショップは初のケントファクトリーイベント&ワークショップでございましたが、 皆様、様々にお楽しみいただけましたようでございます! ご参加いただきました皆様、まことにありがとうございました♪ ケント完全リニューアル感謝祭の今月は、まだまだ今週末と来週もイベントをたくさん開催予定でございます。 ぜひ以下より、今後のラインナップをご高覧くださいませ。 リニューアル感謝祭イベントはこちら 今週は… ◎マイランズ塗装総合ワークショップ ロイヤルワラントの称号を持つマイランズ社の製品を使い、アンティーク家具の塗装の基礎を体験できるワークショップです。 場所:静岡本店(ケントファクトリー) 開催日時: 10月18日(土)11:00 🍪イギリスのお菓子『フラップジャック』を焼いてみよう  香ばしいオーツとバターが香る、イギリス菓子フラップジャック作りを体験できるワークショップです。  場所:静岡本店 ケントデリキッチンスタジオ  開催日時:10月17日(金) 13:00 ◎プロが教えるワックスのかけ方  ケントファクトリーのマイスターが、家具を美しく保つためのワックス仕上げについて実演を交えながら丁寧にレクチャーいたします。  場所:静岡本店(ケントファクトリー)  開催日時:10月18日(土)・19日(日) ◎マイランズ「カラーズオブロンドン」お試しワークショップ  ロイヤルワラントの称号を持つマイランズ社の塗料「カラーズオブロンドン」で、アンティーク家具の塗装を体験できるお試しワークショップです。  場所:静岡本店(ケントファクトリー)  開催日時:10月19日(日) 11:00 ◎アンティーク家具修理セミナー  これまでの修理点数10,000点以上、ケントファクトリーのプロマイスターによるケントのこだわり修理を実演を交えてご紹介いたします。  場所:静岡本店(ケントファクトリー)  開催日時:10月25日(土)11:00 今回のイベントはオンラインショップの会員にご登録いただくだけで、皆様無料でご参加いただけます! ケントの完全リニューアル感謝祭、引き続きぜひお楽しみください☆ また、ケントストア静岡本店、ケントサロン東京にお気軽にお立ち寄りください。 スタッフ一同、心よりお待ち申し上げております。 ケントの完全リニューアル感謝祭イベントに関する詳細はケントストアのインスタグラムからメッセージ、またケントストア静岡本店へお問い合わせくださいませ。 ◆インスタグラムはこちらをクリック ↓ ◆静岡本店 TEL : 054-204-7003 ⬅スマートフォンの方はこちらをクリック 会員登録はこちら オンラインショップはこちら ブログのトップページはこちら

23rdアニバーサリー企画『ウィリアム・モリスの壁紙ワークショップ』

23周年アニバーサリー企画として、ウィリアムモリスの壁紙でアートパネルを製作するワークショップを開催しました。 2025年10月12日(日)、 アンティーク家具ケントストア静岡本店 にて「ウィリアム モリスの壁紙でアートパネルを製作するワークショップ」を開催しました。 2002年10月にスタートいたしました株式会社ケント及びケントストアは、今年で創業23周年を迎えます。 23年目の今年は、3月にケントストア静岡本店、工場(ケントファクトリー)のリニューアルオープン、4月のケントサロン東京の新規オープン、そして今月、ケントストアホームページとオンラインショップのリニューアルと大きな節目の年となりましたため、創業月の今月、『ケント完全リニューアル感謝祭』として10月11日(土)~26日(日)まで、各店舗で様々なイベントを開催しております。 なかでも工場(ケントファクトリー)と併設しておりますケントストア静岡本店では修理や製作、お菓子作りなどのワークショップやセミナーを7種類も開催! 今回は第1弾として12日(日)11時から行いましたワークショップの模様をお届けします。 ウィリアム・モリスの壁紙について ケントストアではウィリアム・モリス本社で生産される壁紙を英国からお取り寄せし販売しております。 上画像は静岡本店のドレッシングルームでございますが、右側壁一面を張りました際に少し壁紙が余りました。素敵な柄を捨ててしまうのはもったいない!ということで企画しました今回のアートパネルのワークショップ。 直前の募集にもかかわらず、ウィリアム・モリスをお好きな皆様にお集まりいただきました。 今回のワークショップはケントファクトリーの職人が講師を務めます。   まずは壁紙選びから 壁紙のラインナップの中から、まずはお好みの柄を選んでいただきます。 元々お好きな柄を選ばれる方、飾られるお部屋のイメージに合わせて選ばれる方、シックな数柄から選ばれる方…。 皆様、色々と想像を巡らせながら楽しまれていらっしゃいました。 「コレ!」とご決定いただいた後はパネルに合わせて、柄の配置を決めます。 「このお花をここに見せたい!」、「やはりこの柄のメインはココだから中心をここに…」などおしゃべりをしながら合わせていきます。   講師のケントファクトリーの職人からも、日頃、キャビネットの背板や椅子の生地張りなどで柄の配置をよく見ていることから、的確なアドバイス。 皆様、お悩みになりながらも決定しました。 いよいよアートパネル製作スタート 配置を決めた壁紙をパネルに留めていきます。 木製のパネルに巻き込むようにして留めていくのですが、これが意外とやや難易度高し、、、です。固めの壁紙を配置がずれないように押さえながら折り目をつけて製作していきます。ケントファクトリーの職人からは角の始末や側面をきれいに仕上げるコツをアドバイス。 皆さま、すぐにコツをつかまれて、切ったり留めたり、楽しそうです。 そろそろアートパネルが仕上がります! 裏側も美しく仕上げます。 留めた跡をマスキングテープで仕上げ、飾った時に収まりもよいようにいたします。 完成! 皆様、プロの仕上がりです! 柄の配置もぴったりで、はじめておつくりになったとは思えない、素晴らしいパネルが仕上がりました!! ケントファクトリーの職人からは壁掛けにする際などのアドバイスもさせていただきました。 英国で印刷しておりますこちらのウィリアムモリスの壁紙は、モリス自身の指定やこだわりを忠実に守って再現しております。 そのため、まるで描いた直後の絵画を飾っているような精細なタッチや色の幅、奥行きを感じていただけます。 皆様、壁に掛けたり立てかけたり、お部屋に飾っていただけるとのことでしたが、ウィリアムモリスの自然を愛する色や柄が寛ぎの空間の癒しとなりますように。 ケントストアからのお知らせ ケントファクトリーのワークショップイベントはいかがでしたでしょうか? 初めてワークショップにご参加されるお客様もいらっしゃいましたが、皆様楽しんでいただけたご様子でした! 参加してくださいました皆様、どうもありがとうございました♪ 残念ながら、ご参加いただけなかった方、今週末と来週もイベントをたくさん開催予定でございます。 ぜひ以下より、今後のラインナップをご高覧くださいませ。 リニューアル感謝祭イベントはこちら 今週は… 🍪イギリスのお菓子『フラップジャック』を焼いてみよう  香ばしいオーツとバターが香る、イギリス菓子フラップジャック作りを体験できるワークショップです。  場所:静岡本店 ケントデリキッチンスタジオ  開催日時:10月17日(金) 13:00 ◎プロが教えるワックスのかけ方  ケントファクトリーのマイスターが、家具を美しく保つためのワックス仕上げについて実演を交えながら丁寧にレクチャーいたします。  場所:静岡本店(ケントファクトリー)  開催日時:10月18日(土)・19日(日) ◎マイランズ「カラーズオブロンドン」お試しワークショップ  ロイヤルワラントの称号を持つマイランズ社の塗料「カラーズオブロンドン」で、アンティーク家具の塗装を体験できるお試しワークショップです。  場所:静岡本店(ケントファクトリー)  開催日時:10月19日(日) 11:00 今回のイベントはオンラインショップの会員にご登録いただくだけで、皆様無料でご参加いただけます! ケントの完全リニューアル感謝祭、引き続きぜひお楽しみください☆ また、ケントストア静岡本店、ケントサロン東京にお気軽にお立ち寄りください。 スタッフ一同、心よりお待ち申し上げております。 ケントの完全リニューアル感謝祭イベントに関する詳細はケントストアのインスタグラムからメッセージ、またケントストア静岡本店へお問い合わせくださいませ。 ◆インスタグラムはこちらをクリック ↓ ◆静岡本店 TEL : 054-204-7003 ⬅スマートフォンの方はこちらをクリック 会員登録はこちら オンラインショップはこちら ブログのトップページはこちら

【徹底解説】アーコールのゴールドスミスチェアとは?

イギリスの老舗家具メーカー アーコール(ERCOL)。 アーコールを代表する作品の一つに『ゴールドスミスチェア (Goldsmith Chair)』という"ウィンザーチェア"があります。 ここでは、ウィンザーチェアとアーコールの歴史、そして『ゴールドスミスチェア』についてご紹介します。 photo:アーコールのゴールドスミスチェア photo by:kentstore アーコールのラインナップはこちら ウィンザーチェアの産地 High Wycombe ハイ・ウィカム ウィンザーチェア photo by:kentstore ウィンザーチェア(Windsor Chair)は、イギリスで誕生した椅子です。 17世紀にイギリス南東部にあるウィンザー地方で、ろくろ職人や農民などのために作られてきた実用家具「カントリーチェア」が起源とされています。 ハイ・ウィカム(High Wycombe) 19世紀初頭から、ウィンザーチェアの需要は急速に伸び、生産地はイギリス各地に広がりました。 その中でも、ロンドンから西北西に約50キロ、バッキンガムシャー地方にあるハイ・ウィカム(High Wycombe)は、群を抜いていました。 ハイ・ウィカムは、チルターン丘陵(Chiltern Hills)という森林資源が豊富な丘陵地帯に近かったこと、テムズ川の支流であるワイ川(River Wye)が流れているため水量に恵まれていたこと、そして首都ロンドンに近いことから流通の面でも好都合であったため、ハイ・ウィカムは、イングランド最大の家具産地となったのです。 ハイ・ウィカム 椅子のアーチ ↑ 上の画像は、1880年、後に国王"エドワード7世"となるプリンス・オブ・ウェールズの訪問のために、ハイ・ウィカムのメインストリートに作られた椅子のアーチです。 その数400脚! ハイ・ウィカムのウィンザーチェアの生産量は、最盛期には一日に約4700脚の椅子が生産されていたそうです。 ウィンザーチェアの衰退 ハイ・ウィカムの工房 ウィンザーチェアは、家庭用の椅子だけでなく集会場や教会など公共用の椅子としても多く使用され、生産量、品種を誇っていましたが、1880年代前後を最盛期として、次第に衰退していきます。 衰退した原因は、第一次世界大戦よる物資の不足と男子労働力の不足、さらに、世界各地で実用的、日用品的な木製椅子が生産され、イギリスの市場にも輸入されるようになったことなどが挙げられます。 そのような影響を受け、ウィンザーチェアの生産に携わる若年労働者が減り、高齢化のため閉鎖される工房も増えていったのです。 アーコール(ERCOL)によるウィンザーチェアの復活 アーコールの創業者 ルシアン・アーコラーニ photo by:ercol 衰退していたハイ・ウィカムのウィンザーチェアですが、再び動きだします。 1910年、イタリア生まれのルシアン・アーコラーニ(Lucian Randolph Ercolani:1888–1976)は、家具製造会社を経営していたフレデリック・パーカー(Frederick parker)にデザイナーとして呼ばれ、ハイ・ウィカムにやってきました。 ルシアン・アーコラーニは、フレデリック・パーカーでさまざまな家具のデザイナーを手掛けた後、独立し、1920年にアーコール家具製造会社(Ercol Furniture Ltd.)を設立しました。 ルシアン・アーコラーニは、比較的安価なエルム材を使い、生産性向上のために、木を水蒸気で蒸し弓のように曲げる「曲げ木」の技術を採用し、ウィンザーチェアを機械化により大量生産する体制を確立していったのです。 アーコール社の成功は、「ハイ・ウィカムの恐るべき男」、自動車の生産体制を確立させたヘンリーフォードになぞられ「ウィンザーチェアのフォード」とまで呼ばれました。 ercol factory in Princes Risborough photo by:ercol アーコール社は、その後ハイウイッカムから15キロの場所にあるプリンス・リズバラ(Princes Risborough)に移転します。 プリンス・リズバラにあるアーコールの工場は、環境に配慮した建物として評価されています。 持ち運びやすいといった機能性、シンプルで美しいアーコールのスタイルは多くの人を魅了しています。 イギリスのファッションデザイナー、マーガレット・ハウエル(Margaret Howell)が、昔使っていたチェアを懐かしく思い、スタッキングチェアとバタフライチェアの復刻を実現したことで、アーコールの人気はさらに高まりました。 アーコールは、英国ヴィンテージ家具の代表格として、今なお根強いファンを増やし続けています。 ゴールドスミスチェアとは? オリジナルのゴールドスミスチェア photo by:©Victoria and Albert Museum, London ゴールドスミスチェア(Goldsmith Chair)とは、アイルランド出身の小説家・劇作家のオリバー・ゴールドスミス(Oliver Goldsmith:1730年-1774年)が所有していた椅子をモデルとしたデザインを『ゴールドスミスチェア』と呼びます。 オリバー・ゴールドスミスは、田舎牧師が数々の災難に合いつつも屈することなく大らかに生きてゆく話「ウェイクフィールドの牧師」をはじめ、「負けるが勝ち」などの作品を世に出した作家です。 オリバー・ゴールドスミスが、どのようにしてその椅子を入手したかは不明ですが、オリバー・ゴールドスミスが亡くなった1774年に、友人で王立人道協会の創設者であるウィリアム・ホーズ(William Hawes)に遺贈されます。 その90年後、ウィリアム・ホーズの子孫であるサー・ベンジャミン・ホーズ(Sir Benjamin Hawes)の妻が、ヴィクトリア&アルバート美術館へ寄贈しました。 現在でも、オリバー・ゴールドスミスのオリジナルチェアは、ヴィクトリア&アルバート美術館に展示されています。 ゴールドスミスチェアの特徴 Oliver Gold Smith Arm Chair photo by:武蔵野美術大学 ゴールドスミスチェアの特徴は大きく3つあります。 ①座面 それまでのウィンザーチェアの座面は半円型が主流でしたが、ゴールドスミスチェアは、ほぼ円形に近い形をしています。 また、お尻の形に合わせて削り出されています。   Oliver Gold Smith Arm Chair photo by:武蔵野美術大学 ②背面の角度 座面に背もたれのスティックを差し込む穴の角度です。 ゴールドスミスチェアが誕生する前は、座面に差し込む穴は笠木やアームに向けてほぼ垂直に穴があけられていました。 ゴールドスミスチェアは、後ろに約3度、傾斜しています。 過去の椅子にはなかったスタイルです。 角度をつけて差し込む技術は、高難度で熟練の技が必要です。 ゴールドスミスチェアの制作工程のなかで、職人が見つけ出したのではないか、と言われています。 ③無駄のない材料加工 ゴールドスミスチェアは、前脚と後脚が同じサイズで作られています。 同じ形の部材をうまく利用することで、材料に無駄がなく作られています。 ゴールドスミスチェアは、250年以上も前に作ったとは思えない、洗練されたチェアです。 ウィンザーチェアの古くからのデザインを保ちつつ、新しく進化した要素も持ち合わせた完成度の高いゴールドスミスチェアは、アメリカン・ウィンザーチェアやアーコールをはじめとして著名家具メーカー、北欧のデザイナーにも大きな影響を与えました。 アーコール(ERCOL)のゴールドスミスチェア アーコールのゴールドスミスチェア photo by:kentstore アーコールのゴールドスミスチェア。 座面は、台形型のヒップに合わせた窪みのある座面になっています。 また座り心地を良くするために、座面の大きさはオリジナルのゴールドスミスチェアより大きく作られています。 ゴールドスミスチェアはこちら アーコールのゴールドスミスアームチェア photo by:kentstore シンプルで美しいデザインはもちろん、身体にフィットする曲げ木の背もたれと座り心地の良さは、アーコールの技術力が詰まった逸品です。 現在でもアーコールのゴールドスミスチェアは製造されていますが、ヴィンテージのゴールドスミスチェアだけが持つ独特の空気感と存在感は、新品にはない趣があります。 椅子は、家具の中でも使用頻度が高いアイテムです。 毎日使うからこそ、座り心地の良さはもちろん、心を豊かにしてくれる椅子を使いたいですね。 きっと、日々の生活の中にホッと一息つける豊かな時間を提供してくれると思います♪ ケントストアだからこそできる豊富な品揃え 英国より入荷のアーコールチェア photo by:kentstore ケントストアは、30年以上にわたり現地イギリスでアンティーク家具を買付しているため、現地のアンティークディーラーとも幅広いネットワークで繋がっております。 それゆえ、入手困難なヴィンテージのアーコールも種類豊富に数多く輸入することが可能です。 今回ご紹介したゴールドスミスチェアの他にも、クエーカーチェア、フープバックチェア、エックスバックチェア、シスルバックチェアなどの椅子、バタフライテーブル、リフェクトリーテーブルなどのテーブル、サイドボードなど、数多くのアーコールのヴィンテージ家具を取り扱っております。 英国より仕入れした家具は、家具産地の静岡にあるケントファクトリーで経験豊富な職人が自信を持って修理します。 家具業界からも認められているケントの修理技術。 必ず満足していただけると確信しております。 ぜひ、ケントストアのヴィンテージ アーコールをご覧いただければ幸いです♡ アーコールのラインナップはこちら 【徹底解説】アーコールのバタフライテーブル(ドロップリーフテーブル) アーコールのドロップリーフテーブル photo by:kentstore アーコール(ERCOL)の作品は非常に多くありますが、ルシアン・アーコラーニが、1950年代後半にデザインした、アーコールを代表するテーブル『ドロップリーフテーブル(バタフライテーブル)Dropleaf Table』についての記事は、ぜひこちらをご覧ください。 ブログ:ERCOLバタフライテーブル 商品に関すること等、お気軽にお問い合わせくださいませ。   静岡本店 TEL : 054-204-7003 ⬅ スマートフォンの方はこちらをクリック 東京目黒店 TEL : 03-6420-0548 ⬅スマートフォンの方はこちらをクリック  

【修理実例】チェアの背面・座面張替え~モリスの生地使用

  チェア背面・座面の張替え修理のご依頼 家具の修理に関して、実際にお客様からご依頼を承りました修理についてご紹介いたします。 今回は、チェアの修理についてです。 【お客様からのご質問】 チェア4脚の背面と座面を張替えたいのですが、修理は可能でしょうか?(I様) 張替前のチェア photo by: kentstore 【ケントストアからのご提案】 ケントストアでは、ケントストアに在庫のある生地、それ以外にも取り寄せが可能ですので、数ある生地の中からお好きなデザインの生地をお選びいただき、張替えをさせていただきます。 お持ち込みいただくことを可能です。 【お客様からのご依頼内容】 I様より選んでいただいた生地は、モリス商会(MORRIS&Co.)の「コンプトン Compton 」と「ブラックトーン Blackthorn」です。 それぞれ2脚ずつ張替えさせていただきました。 「コンプトン Compton 」は、モリスの愛弟子ジョン・ヘンリー・ダールによる作品です。 モリス商会の物件ローレンス・ハドソン家のコンプトン・ホールのためにデザインされたもので、見事に完成されたデザインは、ジョン・ヘンリー・ダールの傑作と言われています。 「ブラックトーン Blackthorn」は、師匠のウィリアム・モリスが好んだお花、バイモ(貝花)、ブラックトーン(リンボク類)、スミレなどが描かれた作品です。 修理時間・料金 【修理時間】 お預かり後 3週間 (※工場の混み具合により前後します。ご了承くださいませ。) 【1脚の修理料金】 座面(張りぐるみ)と背面張替え:30,000円 生地代コンプトン:19,600円(1m) 生地代ブラックトーン:11,800円(1m) ※別途、生地の取り寄せ送料がかかります (※弊社に在庫がある生地をお選びいただいた場合は生地の送料は発生致しません。) ※別途 家具の配送料金がかかります。 (※お住まいの地域によって配送料金は異なります。) 修理後のアンティークチェア 張替後のチェア(コンプトン) photo by: kentstore 張替後のチェア(ブラックトーン) photo by: kentstore チェア本体の優雅なデザインと、まるでそこに本物の草花が生い茂っているかのような彩り豊かなの生地がマッチして、とても素敵なチェアに仕上がりました。 I様、この度はご依頼いただきありがとうございました。 心より御礼申し上げます。 I様より、とても素敵な邸宅のお写真を送っていただきましたのでご紹介させていただきます♪   張替後のチェア I様邸 photo by: I様 張替後のチェア I様邸 photo by: I様 張替後のチェア I様邸 photo by: I様 張替後のチェア I様邸 photo by: I様 ケントストアの修理実績 ケントファクトリーでは、一般のお客様はもちろんのこと、大手インテリアショップの請負修理を何社も担っております。 アンティーク家具を扱うにあたって最も大切なことは「リペア」だとケントストアは考えます。 「リペア」とは「修理」という意味だけでなく「回復」という意味もあります。 ただ壊れた箇所を修理するのではなくサスティナブルで持続可能なアンティーク家具へと循環させ蘇えらせることで、 日本のお客様が安心してずっと使い続けられる英国アンティーク家具になります。 さらに魅力的な英国アンティーク家具にするために、 金具・レザーなどの装飾品から塗料テクスチャーに至るまで全てイギリスから直輸入したマテリアルを使用しています。 家具産地の静岡にあるケントファクトリーで経験豊富な職人が自信を持ってそれらの材料を使用し修理します。 家具業界からも認められているケントの修理技術。 必ず満足していただけると確信しております。 ウィリアムモリスの歩んだ軌跡 vol.1 ウィリアム・モリス(William Morris 1834年-1896年)は英国の思想家であり、作家であり、詩人であり、工芸職人であり、そして何といっても、家具、室内装飾のデザイナーでありました。 彼の作品は近代デザイン史上に大きな影響を与え「モダンデザインの父」と称されています。 繊細で温もりを感じるテキスタイルデザインは、150年以上経った今でも世界中の人々に愛されています。 ウィリアム・モリスの経歴についてはこちらのブログ記事をご覧ください。 ウィリアムモリスの歩んだ軌跡 ウィリアム・モリスの作品紹介:ブレアラビット(兄弟うさぎ) 1882年にウィリアムモリスがインディゴ抜染による生地制作のためにデザインした作品『ブレアラビット(兄弟うさぎ)』 モリスが2人の娘に読み聞かせていたジョーエル・チャンドラー・ハリス(Joel Chandler Harris:1848年- 1908年)の作品「リーマスおじさん (Uncle Remus)」の話に出てくる賢いウサギ(Br’er Rabbit)にちなんで名付けられました。 ブレアラビットはディズニーランドにいる??? 詳しい内容はこちらのブログをご覧ください。 モリスの作品ブレアラビット 静岡本店 TEL : 054-204-7003 ⬅ スマートフォンの方はこちらをクリック 東京目黒店 TEL : 03-6420-0548 ⬅スマートフォンの方はこちらをクリック   ケントストアでは多種多様なイギリスアンティーク家具を取り扱っております。 経験豊富な職人が自信を持って修理しましたアンティーク家具をぜひご覧くださいませ。 モリスの生地製作 アンティーク家具のラインナップ

広がる田園風景と心ときめくアンティーク家具に出会う場所 – The Queens Arms

イギリスの南西部サマセット州にある丘陵に囲まれた小さな村、コートン・デナム(Corton Denham)。 その風景に溶け込むように佇むのが、歴史と趣を感じさせる ホテル 「ザ クイーンズ アームズ(The Queens Arms)」 です。 The Queens Arms の客室はわずか10室しかなく、まるで自分だけの隠れ家にいるかのような特別な空間が用意されています。 訪れる人は日常を忘れ、静けさと豊かさに包まれたひとときをゆったりと過ごすことができます。 そして、このホテルの大きな魅力のひとつが、アンティーク家具を巧みに取り入れたインテリアです。 ここでは、この The Queens Arms の魅力的なインテリアと、アンティーク家具の美しい調和に焦点を当て、日常の暮らしに取り入れられるアイデアをご紹介します。 英国の田園ホテルに宿泊しているかのような気分で、家具選びやインテリアコーディネートの楽しさをワクワクしながら感じていただけたら嬉しいです。 The Queens Arms photo by:The Queens Arms アンティーク家具で彩る、寛ぎの空間 ◆Living The Queens Arms photo by:kent buyer まずは、リビング。 その中でひときわ存在感を放つのが、バトラーズテーブル(Butler’s Table) です。 バトラーズテーブルとは、その名の通り、執事(バトラー)が紅茶やお酒、食事などを運ぶために使っていた折り畳み式のテーブルのことで、18~19世紀の英国上流階級の邸宅で愛用されていました。 天板の縁が立ち上がる構造になっており、グラスやティーカップが滑り落ちない工夫が施されており、実用性と美しさを兼ね備えた英国らしい家具です。 このバトラーズテーブルがリビング空間の中心的存在として配置されています。 そしてバトラーズテーブルを囲むように、グレーの布張りのコーナーソファが置かれ、落ち着いた色合いがさらにテーブルの存在感を引き立てています。 バトラーズテーブルの下には、深紅を基調としたペルシャ風カーペットが敷かれ、豊かな色彩と繊細な模様が空間全体に温かみを添えています。 色や素材の異なる家具がバランスよく配置されているため、英国のカントリーコテージのような、親しみやすくもエレガントな雰囲気が完成しています。 またバトラーズテーブルがあることで、ただのダイニングではなく、「もてなしの心」を感じさせる英国らしい特別な空間が生まれています。 ◆Dining The Queens Arms photo by:kent buyer リビングと共通の空間にあるダイニング。 ダイニングにはパイン材を使用した円形のテーブルが配置され、柔らかな木目と温かみのあるライトブラウンの色合いが、空間全体に親しみやすい雰囲気を与えています。 円形のテーブルは、家族やゲストとの会話を自然に促す効果があります。角がないため座る位置を選ばず、皆が平等に向き合えるので、食事の時間をより和やかで心地よい時間にしてくれます。 テーブルを囲むのは、オーク材のアンティークチェアです。 クラシカルなデザインを生かしつつ、落ち着いたライトブラウンの合皮に張り替えられたチェアは、快適さと上品さを備えています。 テーブルとチェアの異なる木材の色や質感が、程よいコントラストとなり、英国田園風のクラシカルな空間に深みをプラスしています。 床やカーペット、周囲のアンティーク家具とも調和し、落ち着きながらも華やかさのあるダイニング空間が完成されています。 ここでのひとときは、食事を楽しむだけでなく、インテリアとして参考にしたくなる美しい空間です。 清潔感とクラシカルが調和した寝室空間 ◆Bedroom 1.   The Queens Arms photo by:kent buyer The Queens Arms の寝室は、白いシーツが清潔感を演出し、柔らかなライトグレーのベッドフレームが落ち着いた雰囲気を作り出しています。 ベッドサイドにはワードローブが配置され、収納と空間のバランスが美しく保たれています。 The Queens Arms photo by:kent buyer 寝室の一角には、マホガニー材のデスクが配され、その上にはオーク材のスタンドミラーが置かれています。 落ち着いた木の質感が調和し、上品で実用的なアクセントとなっています。 スタンドミラーを組み合わせていることで、デスクはドレッサーとしても活用でき、身支度の時間を優雅で心地よいひとときに変えてくれます。 そしてデスクに合わせられた椅子は、エンボス加工が施されたベントウッドチェアです。 長い年月を経て程よく年季が入り、木肌には歴史を感じさせる深みがにじんでいます。 その落ち着いた風合いが室内のトーンと調和し、より趣のある雰囲気を演出しています。 ◆Bedroom 2. The Queens Arms photo by:kent buyer もう一つの寝室は、「Bedroom 1.」と同じ床・壁、シンプルなベッドが配されています。 その空間に置かれているのは、アンティークのワードローブとシュバルミラーです。 どちらも存在感のある家具ですが、カジュアルで明るめの室内にしっくりと馴染み、アンティークならではの味わいを添えています。 重厚すぎず、日常に取り入れやすいバランス感があり、『暮らしの中で楽しむアンティーク』 の魅力を感じさせてくれる寝室です。 併設のレストラン The Queens Arms photo by:kent buyer The Queens Arms に併設されたレストランは、18世紀の趣を感じさせる空間で、宿泊客はもちろん地元の人々にも愛される場所です。 アンティーク家具と温かみのある照明が配され、訪れるだけで英国田園の邸宅に招かれたかのような気分に浸れます。 テーブルには、英国アンティークの代名詞ともいえるドローリーフテーブルやゲートレッグテーブル、オケージョナルテーブルが使用され、それぞれ異なる形や機能を持ちながらも空間全体に統一感をもたらしています。 ドローリーフテーブル、ゲートレッグテーブルは、天板を拡張できる機能性があり、少人数でも大人数でも対応可能です。 オケージョナルテーブルは、軽やかで可動性が高く、食事やティータイム、ちょっとした作業にも便利なテーブルです。 The Queens Arms photo by:kent buyer テーブルを囲む椅子や座席は、オークチェアやウィンザーチェア、スツール、そしてチャーチベンチまでバリエーション豊かに配置されています。 チャーチベンチは、もともと教会で使われていたベンチで、長年の使用によって生まれた木の深い色合いや風合いが、空間に重厚感と温かみを添えています。 背もたれや座面のシンプルながらクラシカルなデザインは、どんなテーブルにも自然に馴染み、英国田園らしい落ち着いた雰囲気を演出しています。 ベンチだからこそ複数人で座れるため、家族や友人と一緒に食事やお茶を楽しんだり、談笑したりするのに最適です。 座る人同士の距離が自然と近くなることで、会話が弾み、食卓がより和やかで親密な空間になります。 The Queens Arms photo by:kent buyer テーブルを囲む椅子のひとつ、ウィンザーチェアは、17世紀にイギリス南東部のウィンザー地方で、ろくろ職人や農民のために作られてきた実用家具が起源です。 軽やかで頑丈な構造と、細やかな背もたれのデザインが特徴で、長年にわたり英国の家庭や公共空間で愛用されてきました。 The Queens Arms のレストランでもこの伝統あるウィンザーチェアが使用されており、歴史と風格を感じさせながらも、軽やかで快適な座り心地を提供しています。 The Queens Arms photo by:kent buyer レストランの壁には、イギリスではよく見られるコンベックスミラーが飾られています。 コンベックスミラーとは、凸面のガラスで作られた丸い鏡のことです。 凸面ガラスの特性により視野を広く見せることができるため、狭い空間でも奥行きを感じさせる効果があります。 コンベックスミラーは、18~19世紀の英国邸宅で人気となり、当時は上質なインテリアのステータスとして置かれていました。 丸みを帯びた鏡面は、光を柔らかく反射し、室内を明るく開放的に演出します。 さらに、鏡に映る景色や人々の姿がゆがむことで、見る角度によって表情が変わり、遊び心や美的な楽しみを添えてくれます。 アンティーク家具やクラシカルなインテリアと組み合わせることで、単なる装飾以上に、歴史と趣を感じるアクセントとして空間を引き立てています。 💡異なる色や素材を美しくまとめるコツ The Queens Arms では、色や素材が異なる家具や装飾品が多くあっても、空間全体が自然に美しくまとまっています。 その秘訣は以下の通りです。 🟤トーンの統一:濃すぎず明るすぎない落ち着いた中間色や渋めのトーンをベースにしているため、複数の色があっても自然に調和します。 🪵素材感のバランス:硬質なマホガニーやオークの木材、柔らかな布張りのコーナークッション、ペルシャ風カーペットなど、素材の違いを組み合わせることで、色の違いがむしろ空間の深みや温かみを生み出します。 🔴アクセントカラーの巧みな配置:深紅のカーペットやグレーの布張りコーナークッションなど、差し色を適度に取り入れることで、色や形のアクセントとして効かせつつ、統一感を保っています。 🎨形やデザインの統一感:家具や小物の形をクラシカルなスタイルで揃えると、色や素材が違っても空間にまとまりが生まれます。たとえば、丸みを帯びたチェアや曲線のあるテーブルなどデザインの系統をそろえることで、見た目に違和感がなくなり、空間全体が上質で落ち着いた印象になります。 今回ご紹介したThe Queens Arms のインテリアは、ほんの一部にすぎませんが、色や素材の組み合わせ、家具の配置、アンティークとカジュアルの融合など、どれも日常のインテリアの参考になるポイントが満載です。 今回の紹介を通して、英国田園の落ち着いた雰囲気や、アンティーク家具を生かした空間づくりのアイデアをぜひ取り入れてみてくださいね。 ウインザーチェアの歴史 ウインザーチェア photo by: kentstore The Queens Arms には、英国アンティーク家具の代表格である ウィンザーチェア(Windsor Chair) が数多く置かれています。 そのシンプルながら優雅なデザインは、何世紀も経った今でも英国の邸宅やホテルで愛され続けています。 さらに、ウィンザーチェアをもとに派生して生まれた アーコールのゴールドスミスチェア も注目のアイテムです。 ウィンザーチェアの機能性と美しいフォルムを引き継ぎつつ、モダンな雰囲気も加わったこのチェアは、空間に軽やかさと上質さを添えてくれます。 ウィンザーチェアの歴史とゴールドスミスチェアの歴史や特徴、魅力をさらに詳しく知りたい方は、ぜひこちらのブログ記事をご覧ください。 【徹底解説】アーコールのゴールドスミスチェアとは? ケントストア オンラインショップ ケントストア オンラインショップは、今回ご紹介したテーブル、チェアなどのアンティーク家具はもちろん、コンベックスミラーなどの小物雑貨も豊富に取り揃え、見るだけでもワクワクするラインナップです。 一つひとつのストーリーを感じながら、日常を彩る家具や小物の数々をお楽しみください。 きっと、お気に入りの逸品に出会えるはずです。 オンラインショップはこちら     商品に関すること等、お気軽にお問い合わせくださいませ。   静岡本店 TEL : 054-204-7003 ⬅ スマートフォンの方はこちらをクリック 東京目黒店 TEL : 03-6420-0548 ⬅スマートフォンの方はこちらをクリック      

【徹底解説】1930年代 折衷様式(エクレクティックスタイル) 家具の特徴

イギリスのアンティーク家具の中でも、1930年代に生まれたものは特に多く見られます。これは偶然ではなく、この時代ならではの背景があるのです。 1930年代は、家庭生活や住宅文化が急速に発展した大きな転換期でした。 人々は日常をより快適で豊かにすることを求め、家具は単なる生活道具ではなく暮らしを彩る存在として重要な役割を担うようになります。 しかし1939年以降、戦争による資材不足や工場の軍需転換で家具生産は大きく縮小しました。 だからこそ、1930年代に作られた家具は『戦前最後にしっかりと作られた家具』として今に残り、アンティークとして高く評価されているのです。 ここでは、その時代に生まれた「折衷様式(エレクティック様式)」の家具デザインについてご紹介します。 ケントストア静岡本店内 ブリティッシュハウス photo by:kentstore 産業革命以降の暮らしと折衷様式誕生の背景 1930年代イギリスの住居 photo by:fine my past uk 産業革命による社会的繁栄を背景に、イギリスでは中流階級の家庭が急速に増えていきました。 19世紀後半から20世紀初頭にかけて、交通網や工業化の進展により、都市だけでなく郊外にも住宅地が整備され家庭向けの住宅が増えていきました。 リビングルームやダイニングルームを備えた「家族向けの住まい」が広がりました。 こうした住宅の広がりは、必然的に家具の需要を押し上げます。 以前は富裕層の邸宅にしかなかったリビング用の家具やダイニング用の家具が、中流階級の家庭にも取り入れられるようになり、食事やくつろぎの時間、来客時のもてなしといった暮らしの場面ごとに家具が必要とされるようになったのです。 そこでは、ただ豪華なだけでなく「日常生活に合った大きさや機能性を備えた家具」が求められました。 このように、産業革命がもたらした社会の豊かさと中流階級の台頭が、1930年代の家具需要を大きく後押しし、折衷的で実用的なデザインが生まれる土壌となったのです。 ヴィクトリア時代と1930年代の折衷デザインの違い ヴィクトリアン様式の家具 photo by:kentstore 「折衷様式」と聞くとヴィクトリア時代の家具を思い浮かべる方も多いでしょう。 ヴィクトリア時代にもチューダー朝から続くイギリスの伝統的スタイルを融合した折衷デザインが見られましたが、主に上級階級の邸宅向けで、さまざまな歴史様式や装飾を大胆に組み合わせた金具や彫刻、豪華な布張りなど、装飾の華やかさが最大の魅力でした。 1930年代の英国アンティーク家具 photo by:kentstore 一方、1930年代に生まれた折衷様式は、一般家庭の暮らしに合わせて発展しました。 サイズや形は実用性を重視し、装飾も控えめに抑えられています。 伝統的な要素とモダンなデザインをバランスよく融合させ、食事や団らんなど日常生活に自然に馴染む家具として広く取り入れられました。 ヴィクトリア時代の折衷様式が上級階級向けに豪華さを競う装飾中心だったのに対し、1930年代の折衷様式は中流家庭の日常に寄り添う実用的な美しさを重視している点が大きな違いです。 アールデコの影響を受けた折衷様式の魅力 1930年代イギリスのアールデコ調キャビネット photo by:kentstore 1930年代のイギリス家具には、フランスから広がったアールデコの影響も色濃く反映されているものもあります。 直線的で幾何学的なフォルムや、洗練されたシンプルなラインが積極的に取り入れられ、従来の家具にはなかったモダンな雰囲気を生み出しました。 しかし同時に、イギリス人の保守的な気質が働き、伝統的な様式美も部分的に残されました。 脚部の装飾や引き出しの彫刻、木材の丁寧な仕上げなど、クラシックなディテールが随所に施されており、アールデコのモダンさに品格を添えています。 こうした融合によって、1930年代の家具は「新しさの中に伝統の落ち着きを感じさせるデザイン」として独自の魅力を確立しました。 1930年代の家具にオーク材が多い理由 ケントストア静岡本店 photo by:kentstore 18世紀から19世紀にかけては、木目の美しさと優雅な雰囲気を持つウォルナットが高級材として人気を集めました。 比較的やわらかく加工しやすい性質を持つため、繊細な装飾や曲線的なデザインに適しており、キャビネットや小型家具などでその魅力を発揮しました。 一方、ヴィクトリア時代の豪華な家具に多用されたのはマホガニーです。 優雅な雰囲気を演出しますが、輸入材であるため価格が高く、1930年代の一般家庭にはなかなか手の届かない存在でした。 それに対してオークは、イギリス国内で豊富に産出され、非常に硬く耐久性に優れた木材です。折衷様式やアールデコの直線的なデザインとも相性がよく、ダイニングテーブルやキャビネットなど日常使いの家具に最適でした。 このように、ウォルナットやマホガニーが上流階級のための豪華な家具に使われたのに対し、オークは中流家庭の実用的で堅牢な家具に広く取り入れられるようになったのです。 日本の住宅に馴染むサイズと魅力 ケントストア静岡本店 photo by:kentstore 1930年代に作られたイギリス家具は、デザインだけでなくサイズ感も魅力のひとつです。 当時の中流家庭向けに作られたため、ヴィクトリア朝の重厚で大きすぎる家具とは異なり、日本の住宅にもしっくり収まるコンパクトさがあります。 リビングやダイニングに自然に置けるサイズ感は、現代の生活にも無理なく溶け込みます。 100年近い歴史とストーリーがあるアンティーク家具。 産業革命後の社会変化、世界恐慌の影響、アールデコの流行、イギリスらしい保守性――さまざまな背景を反映しながら作られた家具は、単なる道具ではなく「時代を映す物語」を内包しています。 その背景を知ることで、家具を見る目も変わり、暮らしの中でより愛着を持ってご使用いただけます。 1930年代の折衷様式家具は、そのデザイン・サイズ・歴史のすべてにおいて、現代の暮らしに溶け込む特別な魅力を持っています。 ケントストア オンラインショップ ケントストア オンラインショップは、ご家庭用のチェアやテーブルはもちろん、バーカウンターやショーケースなどの店舗什器も豊富に取り揃え、見るだけでもワクワクするラインナップです。 さらに、小物類も多数ご用意しており、アンティーク家具や雑貨の魅力を余すところなくご覧いただけます。 修理前の家具もご覧いただけますので、職人の手仕事の美しさをお楽しみいただけるのも当店ならではの魅力です。 家具一つひとつのストーリーを感じながら、日常を彩る家具や店舗什器の数々をお楽しみください。 きっと、お気に入りの逸品に出会えるはずです。 オンラインショップはこちら 【徹底解説】ヴィクトリアン様式 家具の特徴 ヴィクトリアン様式 建築物と家具の特徴 photo by: kentstore エドワード7世の母であるヴィクトリア女王。 ヴィクトリア女王は、1837年に18歳にして女王に即位します。 その後63年間にもわたり、大英帝国の女王として、イギリスを世界の強国に成長させました。 ヴィクトリア女王の統治下(1837年~1901年)の建築物と家具のデザインを『ヴィクトリア(ヴィクトリアン)様式』といいます。 『ヴィクトリアン様式』の家具デザインについてのブログ記事はこちらをご覧ください。 ヴィクトリアン様式 建築物と家具の特徴 他の建築様式もチェック チューダー様式 エリザベス様式 ジャコビアン様式 ウィリアム&メアリー様式 クイーンアン様式 ジョージアン様式 リージェンシー様式 ヴィクトリア様式 アーツ・アンド・クラフツ様式 エドワーディアン様式 エクレクティック様式 ミッドセンチュリー様式   商品に関すること等、お気軽にお問い合わせくださいませ。   静岡本店 TEL : 054-204-7003 ⬅ スマートフォンの方はこちらをクリック 東京目黒店 TEL : 03-6420-0548 ⬅スマートフォンの方はこちらをクリック      

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