【大人気のイギリス旅行】ピーターラビットの舞台-英国湖水地方

- 2023/2/6 8:00
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ピーターラビットのおはなし
ピーターラビットのおはなし
photo by:©Frederick Warne&Co.,2022.


世界で一番有名なうさぎ 「ピーターラビット」
2023年は卯年ということもあり、今年の年賀状には、ピーターラビットがデザインされたものが多くみられました。
また、書店には、ピーターラビットの特設コーナーができたり、人気のサブスクリプション、Netflix(ネットフリックス)では、1月末から映画「ピーターラビット」と「ピーターラビット2」が配信されるなど、ピーターラビットはさらに多くのファンを魅了しております。

ここでは、ピーターラビットの誕生、そしてピーターラビットの舞台であるイギリスの湖水地方についてご紹介します。


ピーターラビット生みの親

ビアトリクス・ポター
(Helen Beatrix Potter)

「ピーターラビットのおはなし」の原作者は、イギリスの絵本作家 (Helen Beatrix Potter 1866年-1943年)です。
ビアトリクス・ポターは、裕福な家庭に生まれましたが、彼女の両親は他の子供たちと遊ぶのを許さなかったため、孤独な子供時代を過ごしました。
ヴィクトリア時代では、当たり前のことでしたが、女性は学校にいかず、家庭教師に勉強を教わっていました。
一方で裕福な家庭の女の子の教養として「絵が上手に描けること」は重要であったため、ビアトリクス・ポターの両親も、才能を伸ばすべく、美術専任の家庭教師をつけるなどサポートをしていました。
ビアトリクス・ポターは、幼少期から静物より小動物を描くことが多かったようです。

1893年、ビアトリクス・ポターが27歳の時、10代の頃に家庭教師として来ていたアニー・カーターの息子 “ノエル・ムーア” が急性灰白髄炎(ポリオ)にかかり寝込んでいる、という話しを聞きます。
ビアトリクス・ポターは、ロンドンのペットショップで購入し、ピーター・パイパーと名付けて可愛がっていたウサギを主人公にした絵手紙を、ノエル・ムーアに送ることにしました。

ビアトリクス・ポターがノエルに送った手紙
ノエル・ムーアに送った手紙
photo by: (c) Victoria & Albert Museum


『親愛なるノエル君へ
あなたにどんな手紙を書いてよいのかわからないので、4匹小ウサギのお話をすることにしましょう。
名前は、フロプシーとモプシーとカトンテールと、それからピーターです』

・・・いたずらっ子のピーターがお母さんの言いつけを聞かずに、マグレガーさんの畑に入って、野菜を食べ、追いかけられ、つかまりそうになりながらも、やっと家に戻るという物語です。

まさにこの絵手紙が、世界中で愛される「ピーターラビット」の原型です。

ノエル・ムーアの母親のアニー・カーターは、ビアトリクス・ポターに、自分の子供に送ってくれた絵手紙を元にして絵本を出版することを、提案します。
その頃、ビアトリクス・ポターは自分の描いた挿絵が絵本に採用されたり、グリーティングカードも売れるようになっていたため、少し自信もあったのでしょう。
ノエル・ムーアに送った絵手紙の内容を元に、絵本を作りました。
ところが出版社の反応は悪く、どこも出版してくれません、、

ビアトリクス・ポターは、「ピーターラビットのおはなし」と題名を改め、自分の貯金を使って自費出版をすることにしました。
絵本というと、大きくなサイズに大きな文字で書かれている本が多くあります。
ビアトリクス・ポターは、子供の小さな手でも持てる小さいなサイズの絵本をつくりました。
これが、ロンドンのフレデリック・ウォーン社の目にとまります。
フレデリック・ウォーン社は、ビアトリクス・ポターに、全ての挿絵に色をつけること、物語の分量を減らすことを提案します。
ビアトリクス・ポターもこの提案を受け、書き直します。
そして、1902年、フレデリック・ウォーン社より「ピーターラビットのおはなし」が出版されました。
発売後、増刷され版を重ね、「ピーターラビットのおはなし」は大ベストセラーになったのです。

ピーターラビットのおはなし初版
初版:ピーターラビットのおはなし

ビアトリクス・ポターは、「ピーターラビットのおはなし」がベストセラーになった後も、親から独立し経済的にも独立するために、絵本づくりに没頭します。
「ピーターラビットのおはなし」に続いて、「りすのナトキンのおはなし」、「グロースターの仕たて屋」、「ベンジャミンバニーのおはなし」と小さな絵本を出版しました。

ビアトリクス・ポター書き上げたピーターラビットのシリーズ絵本は、合計24冊、それらは35以上の言語に翻訳され、現在では日本を含む110か国で累計2億5000万部以上発行されています。
ピーターラビットという世界一有名なウサギを誕生させたのです。


ピーターラビットの舞台 イギリスの湖水地方

ピーターラビットの舞台 湖水地方

英国で最も自然が美しいと言われる湖水地方。
イングランドの北西部に位置するカンブリア州にある湖水地方は、ロンドンのユーストン駅(Euston)から湖水地方の入り口であるウィンダミア駅(Windermere)まで3時間半で行くことができます。
東京都よりひとまわり大きい広大な湖水地方一帯は、氷河の浸食により形成されたU字渓谷や大小さまざまな湖、手つかずのありのままの自然が残されています。
緑豊かな山々、丘の斜面に広がる牧草地、その脇に伸びる石垣など、その自然の圧倒的な迫力は、息をのむ、すばらしさです。
2017年には、世界遺産にも登録されています。

ピーターラビットの舞台 湖水地方
風光明媚な景色 英国湖水地方

1896年、ビアトリクス・ポターが16歳の時、一家が避暑地として選んだ湖水地方のニア・ソーリー(Near Sawrey)の村に、初めて訪れます。
ビアトリクス・ポターは、ニア・ソーリーの豊かな自然、その美しさに魅せられ、村の人々に優しさに惹かれ、いつかは、この村に住みたいと思うようになります。
1905年、絵本の印税、親戚からの遺産などで得た資金で、ニア・ソーリーの村にあるヒルトップを購入しました。


ビアトリクス・ポターが暮らしたヒルトップ

ビアトリクス・ポターが暮らしたヒルトップ
ヒルトップ
photo by: ©National Trust


ビアトリクス・ポターが購入した「ヒルトップ(Hill Top)」は、17世紀に建てられた石造りの家です。
ヒルトップを購入する前、ビアトリクス・ポターは婚約者ノーマン・ウォーン(Norman Warne 1868–1905)を白血病で亡くしたばかりで、悲しみに暮れる日々を送っていました。
そんな状況も重なり、湖水地方の自然の美しさに癒されながら、悲しみをまぎらすためもあったのか、ヒルトップを自分好みの空間に作っていきます。
さらには、菜園、果樹園をつくるなど農業にも精をだしました。
絵本作家としても、作品も次々に発表しました。
ビアトリクス・ポターの自然への深い愛情とまなざしは、ピーターラビットシリーズの世界観に色濃く反映されています。
ヒルトップが舞台になっている作品には、『こねこのトムのおはなし』、『あひるのジマイマのおはなし』、『ひげのサムエルのおはなし』などがあります。

 

ヒルトップ リビングのインテリア

ビアトリクス・ポターが暮らしたヒルトップ
ヒルトップのリビング
photo by: ©National Trust

ビアトリクス・ポターが愛したヒルトップの中を覗いてみましょう!

板石を並べた床にじゅうたんが敷かれ、オーク材を使用した家具などが配置されています。

まずは・・・

①ゲートレッグテーブル

ケントストアのイギリスアンティークのゲートレッグテーブル
ケントストアのゲートレッグテーブル(←お買い物ページにすすみます♪)

ヒルトップのゲートレッグテーブルの上に置いてあるわら帽子は、ビアトリクス・ポターが実際にかぶっていた麦わら帽子です。

ゲートレッグテーブルは、折りたたみ式の天板を開いて大きなテーブルとして使用でき、使わないときには折りたたんでコンパクトに収納できたりと、大変機能的なテーブルです。
3枚の天板がフラップヒンジと言われる蝶番でつながり、両側の天板は垂れ下がった状態で収納されていてます。
その両端2枚の天板を持ち上げ、補助の脚で支えて使用します。
補助の脚がゲート(門)のように開閉し出てくるところからこの名称がつきました。

ビアトリクス・ポターも執筆をするときは小さく、食事をするときは大きくするなどして使っていたのでしょうか。

②カップボード

ケントストアのカップボード
ケントストアのカップボード(←お買い物ページにすすみます♪)

ビアトリクス・ポターは、お気に入りのプレートやカップ&ソーサーなどコレクションしていたそうです。
ヒルトップの食器棚に飾られている青色で絵付けしたお皿は、彼女のお父さんが絵付けしたお皿です。

カップボードは、サイドボードの上にプレートを並べる棚がついた食器棚です。
英国ではこのような食器棚(カップボード)を「ドレッサー」と呼びます。
カップボードの上台棚板の部分には、プレートを立てて並べられるように、溝が板に刻まれています。
一方、下台は奥行があり収納力も抜群、板扉がついているので日常使いの食器を収納することができます。
「見せる収納」と「見せない収納」の両方を兼ね揃えています。

③チッペンデール様式のチェア

ケントストアのチッペンデールチェア
ケントストアのチッペンデールチェア(←お買い物ページにすすみます♪)

チッペンデールチェアは、トーマス・チッペンデールによって宮廷家具を市民階級の生活環境に合わせてリデザインされたチェアです。
幅広で背が低く、背もたれには豪華な彫刻や透かし彫りが施された背面(スプラット)がデザインされています。


④ロッキングチェア

ケントストアのロッキングチェア
ケントストアのロッキングチェア(←お買い物ページにすすみます♪)


暖炉の前でロッキングチェアに座り、読書をしていたのでしょうか。
農作業で疲れた体を休める、お昼寝用のチェアでしょうか。
ビアトリクス・ポターがロッキングチェアに座る姿を想像することができます。

ロッキングチェアは、椅子の脚の下にカーブをつけた板が、二本取り付けられているものです。
板のうちの一つは椅子の左側の前後の脚に、もう一つの板は右側の前後の脚に取り付けられており、前脚と後脚の先を下から覆うように取り付けられています。
ゆらゆら揺れることでリラックス効果のあるチェアです。


④マントルピース

ケントストアのマントルピース
ケントストア東京目黒店3階のマントルピース(←お買い物ページにすすみます♪)


マントルピースは、イギリスの冬の厳し寒さをしのぐための、なくてはならないモノです。
また、マントルピースの焚き口とその周辺をレンガなどで装飾するのが、イギリスのリビングの特徴です。
ケントストアで取り扱うマントルピースは、建築資材としての枠のみのご提供となります。
暖炉がなくても壁につけるだけで、素敵な空間を演出してくれます。
ご自宅用はもちろん、ショップのディスプレイアイテムなどに最適です。

⑤ベッドウォームパン

ケントストアのマントルピース
ケントストアのベッドウォームパン(←お買い物ページにすすみます♪)


ベッドウォームパンとは熱い石炭を銅製の鍋の中に入れて、ベッドの中に入れ、寝具を暖める道具です。
大きなフライパンのような形のベッドウォームパンは、ヴィクトリア時代に使われていたものです。
ベッドウォームパンを初めて見た時、鍋の中に食材をいれ暖炉の中にいれ調理するものかと思っていました。焼き芋とか・・・(笑)
日本でいう湯たんぽのようなものですね。


後世に遺すための自然保護活動

ビアトリクス・ポター ヒルトップの前で
ヒルトップの前で

ビアトリクス・ポターの生きた時代は産業革命後の工業化が進む真っ只中。
ビアトリクス・ポターは、工業化により湖水地方の自然が崩れるのを恐れていました。
そのために、絵本で稼いだ資金で、ヒルトップを中心に土地を買い足していきます。
最終的には、4000エーカー(16km²)の土地と14の農場、8つの家を購入します。
そして、開発で失われていく自然や歴史ある建物や庭といった文化遺産を守り、後世に遺す活動をしている英国の慈善団体「ナショナルトラスト(National Trust) 」に、すべて寄贈しました。
ビアトリクス・ポターの「ありのままの自然で遺す」という願いは、ナショナルトラストによって、現在でも守り続けられています。


ビアトリクス・ポターは、ピーターラビットという名作と共に、自らが愛した湖水地方の景色を、後世のわたしたちにそのままのかたちで残してくれました。
その想いに感謝するとともに、次の世代にも引き継がれてほしいと願うばかりです。


ケントストアの絵本「ピーターラビットのおはなし」

イギリスアンティークのピーターラビットのおはなし
ケントストアの絵本「ピーターラビットのおはなし」絵本

2023年1月、イギリスよりコンテナが入荷しました。
ケントストアのバイヤーが買い付けてきたアンティーク家具、雑貨小物など多数ありますが、その中には「ピーターラビットのおはなし」シリーズも入荷しました。
表紙のタイトルなど、エンボス加工されているので、立体感があり新刊の本では味わえない趣があります。 飾っておくだけでも素敵な空間を演出してくれます。

ピーターラビットのおはなしティギーおばさんのおはなし
『ティギーおばさんのおはなし』

『ティギーおばさんのおはなし』
ハンカチとエプロンをなくしたルーシーが、山を登っていくと、ふしぎなせんたく屋さんに出会いました。
はりねずみのせんたく屋ティギーおばさんは、動物たちのきみょうなせんたくものを引き受けて、きれいにアイロンがけまでしてくれるのでした。
ティギーおばさんは、キティ・マクドナルドという実在のスコットランド人のせんたくやさんがモデルになっています。


ピーターラビットのおはなしのこねこのトムのおはなし
『こねこのトムのおはなし』

『こねこのトムのおはなし』
3匹のいたずら子猫がお茶会のため、よそゆきの服を着せられたのですが、外に出ると服のことなどお構いなしに遊び回ります。
ビアトリクス・ポターの愛したヒルトップの家と庭がそっくりそのまま描かれた、美しい背景も必見です。


ピーターラビットのおはなしのあひるのジマイマのおはなし
『あひるのジマイマのおはなし』

『あひるのジマイマのおはなし』
アヒルのジマイマは卵をかえすのがたいそうへたくそで、生んだ卵をいつも皆に取り上げられて不満たらたら。
とうとう家から離れたところで産もうと決心し、家を飛び出します。
いいところはないかと探すジマイマの前に現れたのはキツネの紳士。
すすめられるまま紳士の家で卵を生んだジマイマでしたが、彼の本当の目的は、アヒルの卵のオムレツとアヒルの丸焼きを食べることでした。



イギリスが舞台となっている名作は『ピーターラビット』以外にもございます。
ぜひこちらもご覧ください。↓

 

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