ノエル・ムーアに送った手紙
photo by: (c) Victoria & Albert Museum
『親愛なるノエル君へ
あなたにどんな手紙を書いてよいのかわからないので、4匹小ウサギのお話をすることにしましょう。
名前は、フロプシーとモプシーとカトンテールと、それからピーターです』
・・・いたずらっ子のピーターがお母さんの言いつけを聞かずに、マグレガーさんの畑に入って、野菜を食べ、追いかけられ、つかまりそうになりながらも、やっと家に戻るという物語です。
まさにこの絵手紙が、世界中で愛される「ピーターラビット」の原型です。
ノエル・ムーアの母親のアニー・カーターは、ビアトリクス・ポターに、自分の子供に送ってくれた絵手紙を元にして絵本を出版することを、提案します。
その頃、ビアトリクス・ポターは自分の描いた挿絵が絵本に採用されたり、グリーティングカードも売れるようになっていたため、少し自信もあったのでしょう。
ノエル・ムーアに送った絵手紙の内容を元に、絵本を作りました。
ところが出版社の反応は悪く、どこも出版してくれません、、
ビアトリクス・ポターは、「ピーターラビットのおはなし」と題名を改め、自分の貯金を使って自費出版をすることにしました。
絵本というと、大きくなサイズに大きな文字で書かれている本が多くあります。
ビアトリクス・ポターは、子供の小さな手でも持てる小さいなサイズの絵本をつくりました。
これが、ロンドンのフレデリック・ウォーン社の目にとまります。
フレデリック・ウォーン社は、ビアトリクス・ポターに、全ての挿絵に色をつけること、物語の分量を減らすことを提案します。
ビアトリクス・ポターもこの提案を受け、書き直します。
そして、1902年、フレデリック・ウォーン社より「ピーターラビットのおはなし」が出版されました。
発売後、増刷され版を重ね、「ピーターラビットのおはなし」は大ベストセラーになったのです。