テムズ川の贈り物|英国アンティーク・キャプテンチェア
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テムズの流れが運んだ、職人の誇り
時は17世紀後半。
ロンドンのにぎわいから少し離れた、北西に広がるチルターンズの豊かな自然の中で暮らしていた職人たち。
彼らは旋盤(ろくろ)の技術を駆使し、それまでの貴族的な家具とは一線を画す、堅牢で合理的な椅子を作り始めました。
それらはやがて「ウィンザーチェア」と呼ばれるようになり、実用家具の傑作として、テムズ川の流れに乗ってロンドンの街へと運ばれていきました。
英国の森の木材と職人の手仕事から生まれたウィンザーチェアは、物流の大動脈でもあったテムズ川を通り、人々の暮らしの中へと広まっていきました。
19世紀、産業革命の足音が聞こえ始める頃、ウィンザーチェアはさらなる進化を遂げます。
ウィンザーチェアは、マニュファクチャーによる洗練を経て、中産階級の郊外住宅や都会のパブ、そして公的なオフィスへと、その勢力を広げていきました。
なかでも、ヴィクトリア朝の気品と実用主義が見事に融合した傑作として知られるのが、「キャプテンチェア(スモーカーズボウ)」です。
究極のリラックスを求めた進化
photo by: kentstore
もともとのウィンザーチェアは、背もたれが高く、背筋を伸ばして座るスタイルが主流でした。
しかし19世紀中頃、人々の暮らしに「もっとゆったりと肘を預けて、リラックスして過ごしたい」という需要が生まれます。
そこで考案されたのが、背もたれをあえて低くし、肘掛けと一体化させたこの「U字型(弓=ボウ型)」のフォルムでした。
低い背もたれに肘を預け、少し斜めに構えてパイプを燻らす……。
その姿が妙に「様」になってしまうことから、英国では古くから「スモーカーズボウ」の名で親しまれてきました。
「キャプテン」という称号の誇り
photo by: kentstore
そのどっしりとした風格から、「スモーカーズボウ」は、いつしか「キャプテン(船長)」という称号でも呼ばれるようになります。
船長が船室で荒れた海を睨む。あるいはパブの喧騒の中で、主(あるじ)のように座り込む。そんな「自分の領土」を主張するような威厳が、この一脚には宿っています。
そして、その確固たる存在感を支えているのが、この圧倒的な座面の厚みです。
他のウィンザーチェアにはない、この分厚いエルム(ニレ)材の削り出しこそ、キャプテンチェアの真骨頂。
一見すると無骨ですが、実は「サドルシート(鞍型)」と呼ばれ、職人の手仕事によって身体のラインに合わせて丁寧に削り込まれたものです。
どっしりとした見た目からは想像もつかないほど、座れば身体を優しく、しっくりと受け止めてくれます。
時代を超えて受け継がれる「本物」の風合い
英国アンティークのキャプテンチェア(スモーカーズボウ)の魅力は、その「武骨なまでに実直な造り」にあります。
厚みのあるエルム材の座面には、何十年、何百年の時を経て刻まれた「傷」や「艶」が宿っています。
それは、かつての誰かがこの椅子に深く腰掛け、静かに物思いにひたった確かな足跡でもあります。
大量生産の椅子には決して出せない、ヴィクトリア朝の空気を纏ったこの圧倒的な存在感。
スピンドルの一本一本、そしてサドルシートの絶妙な削り出しには、かつて「椅子の聖地」と呼ばれたハイ・ウィカムの職人たちの誇りが、今もなお息づいているのです。
(※ハイ・ウィカムについては、▶こちらの記事 で詳しくご紹介してます。)
今日から、ここがあなたの「特等席」
もしベッドルームの片隅や書斎に「自分だけの場所」を求めているなら、英国アンティークのキャプテンチェア(スモーカーズボウ)を置いてみてください。
座った瞬間、不思議と背筋が伸び、それでいて心は解き放たれるはずです。
ゆっくりと流れる時間を愉しむ。
そんなスローライフの相棒に、テムズ川が運んできた「本物」を選んでみませんか。
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