ヴィクトリア様式の家具が並ぶケントストア東京目黒店
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ヴィクトリア様式は、まさに折衷様式(エクレクティック:Eclectic)の時代です。
当時の家具デザイナーは、それまでの様式、スタイルを復古させていきました。
ジャコビアンリバイバル、ルネサンスリバイバル、ゴシックリバイバル、ロココリバイバル、クイーンアンリバイバル・・・
そして、いろいろな時代の様式を1つの家具の表面に取り付けたフリールネッサンス・・・などなど。
まさにスタイルが混乱した時代です。
その背景には、18世紀に始まった産業革命が関係します。
産業革命により、イギリスは『世界の工場』と呼ばれるほど、世界最大の先進工業国となっていきました。
家具彫刻は、木彫機械が開発され蒸気を動力とする機械彫刻が可能になったことで、デザインの多様化が進みました。
そして、人々の暮らしも急激なスピードで豊かになりました。
それまで農業に携わっていた地方の人々は、ロンドンやバーミンガム、マンチェスターといった工業都市へと移り住みました。
それにより都市部の人口が爆発的に増え、住宅需要もそれに伴い急上昇したのです。
供給量の増大とともに、デザインも更に多様化します。
生活が豊かになると”好み”も多様化します。
結果、必然的に、過去の良いとされるもの、優れた家具、デザインを模索するようになり、リバイバルブームが到来したのです。
一方で、機械生産による量産の粗悪品も生産されるようになっていきました。
これが後のウィリアムモリスを中心とした『アーツ・アンド・クラフツ運動』へとつながります。
ヴィクトリア様式 絶頂のロンドン万国博覧会