【徹底解説】スコットランドの最北で生まれたフェアアイルニットとは

- 2023/2/10 18:00
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今回は、前回お伝えしたアランニットと並び、イギリスの伝統的なニット、フェアアイルセーターについて解説いたします。

【羊の島】シェットランド諸島とフェアアイル

スコットランドの上には、まずオークニー諸島という島々があります。シェットランド諸島にあり、北海に面しています。
最大の島はメインランド島で、ほかに15の有人島があります。
なんと、石器時代より人が定住し、古くにはスカンジナビア、特にノルウェーの影響を受けていたそうです。
15世紀まで島々はスコットランドの一部ではなく、1707年にグレートブリテン王国の一部となりました。
ヴァイキングを称える火祭りのウップ・ヘリーアーというノース人文化、フィドルなどのケルト音楽などのスコットランド文化の両方がミックスされています。
そして、フェアアイルはスコットランドの北、シェットランド諸島はフェア島で400年以上編み続けられているニットモチーフをいいますが、実はアイルは『isle』=島。
フェア島はノース語(古ノルド語=スカンジナビア人が話していた言語)で羊の島を意味する『Frjóey』に由来するそうです。
最長4.8km、幅2.4km、面積5.61km2の小さな島。東京の0.5%にも満たない小さな羊の島から、美しいモチーフ柄のニットが生まれているとは思いもしませんでした。

フェアアイル_フェア島地図_ケントストア
スコットランドに北に位置するシェットランド諸島。フェア島は一番下。こんなに小さな可愛らしい島。

フェアアイル_フェア島_ケントストア
フェア島。こちらは大西洋側なので荒涼とした感じはなく豊かなイメージですね。

フェアアイルニットの歴史と特徴

フェア島は羊の島、ですので、シェットランド諸島に生息する羊の毛で編まれていることは絶対!ですね。
シェットランド・シープ(シェットランド諸島に生息する羊)は、スカンジナビアから来たといわれています。
英国種の中で最も体の小さな羊の一つと言われていて、寒冷なシェットランド諸島で苔などを食べて生きてきました。
おとなしく丈夫な短い尾を持つ羊で、羊毛は繊細で柔らかく、圧倒的な保湿力を保ちます。原毛は非常に温かみのある明るい茶色です。

フェアアイル_羊_ケントストア
自然の色が美しいフェア島の羊たち。
フェアアイル_ニット_ケントストア
膨らみと弾力が暖かさの秘密です。
アランニットと同じく、フィッシャーマンズセーターの一種で、北欧の『ノルディックセーター』と似ていますが、複数の色を使った色鮮やかな幾何学模様が特徴です。

英国王室にも愛されるフェアアイルセーター

1921年にプリンス・オブ・ウェールズ(後のウィンザー公、エドワード8世)が公の場でフェアアイルセーターを着用したことから、フェアアイルニットは世界的に広まった、と言われています。
伝統的なフェアアイルのパターンは、5色程度の限られた色数で、1列に2色しか使わずに丸く編まれ、特定の色の長さが制限されているそうです。

フェアアイル_エドワード8世_ケントストア
フェアアイルセーターを着たエドワード8世。ウィンザーノット、ウィンザーカラーなどのファッション用語を生み出した、正真正銘のファッションリーダーでした。

英国王室ではその後も長くフェアアイルセーターが愛されています。
近年ではキャサリン妃がBBCの子ども向け番組で童話を読み聞かせしたときに着ていました。
カジュアルな着こなしが素敵なキャサリン妃はフェアアイルセーターの登場回数が多いので、見逃せません!

フェアアイル_キャサリン妃
Courtesy of the BBC

フェアアイル柄の意味と歴史。ノルディック柄との違いは?

北欧の自然を感じさせる雪の結晶やトナカイ、もみの木などをモチーフとした「ノルディック柄」。
フェアアイル柄の幾何学模様には様々な由来の説があります。
フェア島に住む人々の家紋、自然風景、雪柄、そしてスペインの無敵艦隊がフェア島に難破して伝わったムーアの矢など…400年の歴史とともに家紋などについてはスコットランドのタータンと共通するものも感じられます。 なぜ、スペインの無敵艦隊の矢がモチーフに?? これは、先にお伝えした、フェア島の位置に関係してきます。 フェア島はじめ、シェットランド諸島がスカンジナビア文化の影響を受けていることをお伝えしましたが、大航海時代には、イギリスとフランスの海峡を通ることが非常に難しかったため(海が荒れやすいだけでなく、交戦に巻き込まれる危険大)、ノルウェーやデンマーク、フィンランド、エストニア、リトアニア、ポーランド…などなど様々な国の文化が、フェア島に伝わっていたとされています。 そして1588年8月!スペインの無敵艦隊がイギリスを攻め大敗した後にさらに暴風雨に見舞われた軍艦がフェア島の入江で難破してしまったのです。 敵であるスペイン兵を200名ほど助けたことで、『ムーアの矢』だけでなく、『グラナダの星』、『バスクの百合』などのスペインを由来とするモチーフが残され、その後フェアアイルニットは交易に利用されていったとか。

フェアアイル_ノルディック_ケントストア
左がフェアアイル柄、右がノルディック柄。フェアアイル柄のほうがサマーコットンなどで編まれたりもするのでシーズン関係なく楽しめるかも?



雑貨でもフェアアイル!

イギリスアンティーク家具のケントストアでは、フェアアイルに関連した雑貨として、キッチングッズでフェアアイルニットをお楽しみいただけます。 シェットランド諸島に生息する鳥、「海のピエロ」と言われるパフィンや、羊たちが着ているのはフェアアイルセーター! またアルパカやアンゴラヤギたちはスヌードやマフラーを首に巻いています。 動物と自然が大好きな、英国ノッティングガム生まれの人気水彩画家のエマ・ボールが描いたチョッピングボードです。

フェアアイル_チョッピングボード_ケントストア
シェットランド諸島に生息する鳥、「海のピエロ」パフィンと鮮やかなフェアアイルセーターやマフラーを纏ってポカポカな羊やヤギたち。

 

 

 

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