【プロ解説】英国シルバー銀製品の見方 違い

- 2023/5/15 12:00
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イギリスの上流階級のお宅に並ぶきらきらと輝くシルバー食器たちにはうっとりしてしまいますね。
ダウントンアビーでは、執事のカーソンさんが歌いながらシルバーを磨き上げるシーンも多々登場しましたね。
英国では銀食器の使用はステータスを示すものとされて珍重され、ナイフ、フォーク、皿、燭台、ポット、その他多種多様な銀食器が製造されました。

今回はアンティーク巡りをしていると必ず出会う素敵なシルバーたちの見方についてご紹介していきたいと思います。


photo by:E NEWS

シルバーの種類

「スターリング・シルバー(Sterling silver)」

英国では銀の含有率が92.5%を超えるものだけ「スターリング・シルバー(Sterling silver)」と言います。
欧州各国では、純度80%や83%のものもシルバー製品として扱われているそうですが、英国では一貫してこの銀の含有率が92.5%を超えるものだけ「スターリング・シルバー(Sterling silver)」と呼ばれているため、英国製のシルバー製品は世界的にそのクオリティーを誇っています。
純銀はとても柔らかく加工が難しいため、高い銀の純度と耐久性を併せ持つスターリングシルバーがブローチやアクセサリーなどではよく使われています。


photo by:KENT STORE STAFF



「シルバープレート」または「純銀プレート」

ニッケルや銅などの合金の上から、薄い銀を覆ったものがシルバープレートと呼ばれます。
銀自体が柔らかい素材であるため、シルバープレートの下の素材は銀よりも硬い素材となります。 ニッケル、銅または真鍮のような別の金属を使用しています。
シルバーのコーティングが1ミクロン(1mmの1000分の1)ほどあれば、十分な耐久性を発揮し簡単に剥げることはまずないと言えるほどの能力があります。

シルバープレートは、EPNS ( electro plated nickel silver ) シェフィールドシルバー( silver plate on copper) という二種類のものがあります。



〇「EPNS」( electro plated nickel silver )

EPNS は本体がニッケルでできていて、そのうえに電気を使って銀メッキをかける方法で、1850年頃から作られています。(ニッケルとは銀白色の金属で、鉄族に分類されるものです。)
この電気を使用して作られてきた歴史は意外と長く約200年近く前から使われてきた方法です。

他にも表示にはEPNS以外にもEP(Electro Plated)と下の素材があります。 こちらも電気を使用したものですが、ニッケルではない違うものをベースにシルバーコーティングを施したものになります。


〇「シェフィールドシルバー」( silver plate on copper)

シェフィールドシルバー は本体が銅でできていて、その上に銀メッキをかけた物で”シルバーオンコッパー”とも呼ばれます。
お食事をお出しするお皿は、お料理の熱を保つため、こちらの銅を使用したシルバー食器がおおくあります。

その中でも「オールド・シェフィールドシルバー」は電気が発明される以前の品で、純銀を薄いシート状に伸ばし銅の本体に巻きつける方法で作られました。
長年の使用でところどころ地金の銅のピンクゴールドが見えてきて来るものもございますが、温かみが増し雰囲気がオールドシェフィールドならではの特徴としてイギリスでは大切に思われており、コレクターのなかではそのポイントがとても好まれています。


photo by:James Baldwin


次に、英国銀製品に押されているマークについてご紹介いたします。

ホールマーク

昔から英国のシルバー製品は世界を誇る品質を保っているとされています。
数百年以上も前から国単位で厳格な品質管理と審査が行われてきました。その品質保証としてホールマークが各製品に刻印されてきました。
また、各製品は生産者により品質が保証されていることを示す刻印が押されないと出荷が許されていません。



左から順番に
①メーカーズマーク
それぞれの生産者のマーク。通常、メーカーの名前が2、3文字のアルファベットに短縮された形で表されている。

②スタンダード・マーク
シルバー含有率92.5%を超える「英国品質」を保証するマーク。
よくライオンが刻印されていれば、純銀の証!と耳にしますが、実はライオンのほかにもたくさんあります。


photo by:canada gold


③アセイオフィスマーク
どこのアセイ・オフィスで正式な鑑定をされホールマークが押されたかが分かる。
イギリス国内にかつては10数箇所のアセイ・オフィスがあり、場所毎に刻印が区別できるようになっております。
現在は多くのアセイ・オフィスが閉鎖され、現在では「ロンドン」「エディンバラ」「バーミンガム」「シェフィールド」の4箇所のアセイ・オフィスが残っています。


● レオパード ロンドン・アセイ・オフィス
1327年、英国で初めに分析鑑定の専門組織として承認されたオフィス。1697〜1719年は横向きのライオンが代用された。

● 錨  バーミンガム・アセイ・オフィス
シルバー製品の名産地だったことから1773年に創立。1973年の製品には創立200年を記念した特別印が押されている。

● ヨーク・ローズ  シェフィールド・アセイ・オフィス
燭台の名産地として有名。1974年12月までは王冠のマークを使用していた。

● 城  エディンバラ・アセイ・オフィス
シルバーの分析鑑定に関しては、15世紀半ばからの歴史がある。




④デートオブレター
アルファベットと枠の組み合わせ。大文字だったり小文字だったり、ブロック体だったり飾り文字だったりと、様々なデザインで表される文字を、これまた様々な枠の形と組み合わせ、何年に刻印が押されたかを示す仕組み。ただしロンドン以外のオフィスでは、1999年以降はこの刻印付けが省略されている。

⑤デューティーマーク
1784年12月2日~1890年4月30日に製造された銀製品にのみ刻印されたホールマーク。
上記年代の銀製品には税金が課されており、税金を納めた証が刻印されている。
その時代の国王の横顔の刻印が押されています。
ジョージ3世(左向き)   1784~1785
ジョージ3世(右向き)   1786~1821
ジョージ4世        1822~1833
ウィリアム4世       1834~1837
ヴィクトリア女王      1838~1890 


photo by:canada gold

他にも♪
ジョージ5世英国王や、エリザベス女王の戴冠式、銀婚式などのロイヤルイベントを祝うホールマークなどが、通常のホールマークに足して刻印される「記念ホールマーク」があります。
デートレターと合わせて その年だけに限定されるマークですので希少価値の高いホールマークになります。


photo by:gazette

まとめ

いかがでしたでしょうか? 意外と難しくなくパターン化されてわかりやすいと思います。 年代を知るには本が必要ですが、アンティーク巡りをしている中で、少しシルバーがわかるだけで一段と楽しくなりますね♪

ホールマークが読み取りにくいものもありますが、磨かれて大切に扱われてきたシルバー製品は温かみが増し雰囲気がでて、美しく輝きが増してきますね。
アンティーク家具も同じく年々温かみが増し雰囲気がでて、使ってて心が落ち着くような気がします。
イギリスの重ねた年月ほどに価値が増す考え方を見習って、皆さんもぜひこれから大切にする家具やシルバーを探してみてくださいね♪

 

最後に!ホールマークの読み方のおさらいです。
こちらの画像は右から読み取ると、
メーカーズマーク  →AH
スタンダードマーク →
デートオブレター  →1942年
アセイオフィスマーク→シェフィールド

ぜひケントストアでお待ちしております♪



 

 

 

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