What is a
Windsor Chair?

ウィンザーチェアとは?

17世紀にイギリス ウィンザー地方でろくろ職人や農民などのために作られてきた実用家具「カントリーチェア」が起源とされています。

ウィンザーチェアはイギリスを代表する椅子で、ホイールバックチェアやゴールドスミスチェアなど様々な種類があります。

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History of Windsor Chair
ウィンザーチェアの歴史と物語

Story

ウィンザーチェアの歴史と物語

1733年に描かれたバッキンガムシャーのストウにある庭園の絵に、ウィンザーチェアの原型といえるチェアが登場します。

バッキンガムシャーで製造されたウィンザーチェアは、その後バッキンガムシャーの中心都市であるハイウィッカムに製造拠点を移します。

ハイウィッカムはロンドンの北西地域に広がるチルターンズという森林資源が豊富な丘陵地帯に近かったので、木材の調達に功を奏し椅子づくりが盛んになっていきました。


18世紀に入り、オーストリアからイギリスに曲げ木の技術が伝わったことがウィンザーチェアにも大きな変化をもたらします。

この時代はまさに産業革命の時代で、大都市には次々と工場が建設されていきました。

それに伴い、都市部へと多くの人々が流れ込み、人口や住居が増加します。

こうして、リーズナブルで実用的な家具であるウィンザーチェアは、需要増加により大量に生産されたのです。


製造当初は屋外用のガーデンチェアとして使用されていたウィンザーチェアですが、丈夫で長持ちすることから、19世紀の初めからは公共施設(学校や市役所)やパブ、レストランなどの飲食店で使用され、また一般家庭では大人用や子供用を使用するようにもなりました。

パブなどの飲食店や一般家庭での使用に合わせ、従来のウィンザーチェアよりも小ぶりで丈夫なもの(ローバックタイプ)が急速に普及し、イギリス人の暮らしに溶け込んでいったそうです。

The kinds of Windsor Chair
ウィンザーチェアの種類・ブランド・メーカー

【種類】
ウィンザーチェアの形状を大きく分けると4つのタイプに分かれます。

コムバック(櫛型)

コムバック(櫛型)

笠木(トップレイル)から背棒(スポーク・スティック)が座面に伸びるシンプルなデザイン。このデザインが櫛(コム)のように見えることからコムバックと呼ばれています。

ウィンザーチェアの中で、最も古い形と言われています。

ファンバック

ファンバック

コムバックから派生したチェアで、背棒が座面から笠木に向かって扇(ファン)のように広がるようにつながっているタイプ。

ゴールドスミス ゴールドスミス

ゴールドスミス

ファンバックの一種。円形に近い形でヒップに合わせた窪みのある座面、外側に広がり気味の脚、アームの美しいラインなどが特徴的。

劇作家オリヴァー・ゴールドスミスが所有していたことから名づけられました。

ゴールドスミスチェアはアメリカン・ウィンザーチェアや北欧のデザイナーにも大きな影響を与えた画期的なチェアです。

ボウバック(弓型)

ボウバック(弓型)

曲げ木の背枠(バックボウ)が背棒を取り囲むようなデザイン。

曲げ木が弓(ボウ)に見えることからボウバックと呼ばれています。

コムバックより頑丈であることや装飾的なスプラットを持つことから、ボウバックが主流となっていきました。

ホイールバックチェア

ホイールバックチェア

ボウバックから派生したチェア。車輪(ホイール)がモチーフの背板(スプラット)が特徴的。18世紀後半から人気を博した、ウィンザーチェアの代表的なデザインです。

19世紀に入ってから蒸気機関車が誕生し、当時のトピックだったことも人気の理由のひとつ。

ラスバック

ラスバック

ボウバックから派生したチェア。19世紀半ばに登場。工業生産に適したデザインとして大量生産されました。

背棒に緩やかなカーブをおびた四角状の棒(ラス)が使用され、背当たりの良いカーブが座り心地をさらに良くしています。

ローバック

ローバック

ボウバックから派生したチェア。19世紀の中ごろから一部機械生産が導入されその需要増大に合わせ考えられたスタイル。市民の憩いの場としてパブが増え、丈夫で骨太の低い背から続くアームの椅子はスモーカーズボウと呼ばれています。

ローバックから派生したチェアにスモーカーズボウ、スモーカーズチェアがあります。

ローバックの中でも最も人気のある、背もたれのトップレイルからアームまでが1本につながったチェアです。また牛の角のような見た目からカウホーンチェアとも呼ばれています。

パブやレストランのほか、図書館や公共施設など様々な場所で使用されていました。

シンプルな造りながら頑丈で座り心地もよく、リーズナブルな価格と普遍的なデザインが人気の理由です。

流通量が他のチェアに比べ少ないことから希少性がとても高いレアなチェアです。

キャプテンズチェア

キャプテンズチェア

アーム棒の先がカーブし座面につながった形。

アメリカで作られたこのチェアは、ミシシッピ川を航行する蒸気船の水先案内人の小屋で使用され19世紀後半にイギリスに入ってきました。

フープバックチェア

フープバックチェア

アーコールの代名詞ともいえる椅子。

アームの有無やスポークの本数に違いがあります。

現行モデルのチェアにはスポーク6本のタイプが採用されており、4本も比較的最近まで作られていました。5本タイプは生産数の少ない希少なモデルです。

バタフライチェア

バタフライチェア

1958年、創業者ルシアン・アーコラー二によってデザインされたチェアです。高級家具には無垢材を使うのが当たり前だった時代に合板を組み合わせた、デザインともに画期的なチェアでした。

スクールチェア

1957年に誕生したスクールチェア。

名前の通り学校で使用されていたチェアで、マーガレット・ハウエルにより復刻され一躍大人気となったアイテムです。

積み重ねて置いておくことができるスタッキングチェアなので、当時の学校では5脚・10脚と積み上げられていたとか。

トップレイルが1・2本のタイプがあり、2本タイプはヴィンテージのみのレア品です。

シスルバックウィンザーチェア

シスルバックウィンザーチェア

ウィンザーチェアをベースにアレンジを加えたアーコールならではのチェアです。

背もたれにアザミの花の透かし彫りが入った3本のスプラットが特徴。

アザミはスコットランドの国花であり、イギリス生まれのERCOLを象徴するデザインとなっています。現行のデザインにはない希少なチェアです。

クエーカーチェア

クエーカーチェア

フープバックチェアのフープ部分がよりシャープになったデザイン。

現行モデルは6本のスポークとなっていて若干幅が広くゆったり目な座面が特徴的。

5本スポークのチェアはヴィンテージならではのデザインです。

ゴールドスミスチェア

ゴールドスミスチェア

穏やかなカーブが特徴的なトップレイルを持つゴールドスミスチェア。

劇作家オリバー・ゴールドスミスの所有していたチェアがモデルになっています。

スティックバックチェア

スティックバックチェア

フープバックチェアのダイニングチェアとして改修されたチェア。

全体が直線的なデザインで作られており、現行では存在しない希少性の高いモデルです。

エックスバックチェア エックスバックチェア

エックスバックチェア

「チルターン」と呼ばれるチェアで、エックスバックチェアの他にクロスバックチェアとも呼ばれています。

Xにクロスした背もたれに合わせて脚部の貫(ストレッチャー)もクロスしているおしゃれなデザイン。初期モデルはH型の貫だったためで、H型の貫は希少性のあるデザインです。

ロッキングチェア

ロッキングチェア

木のぬくもり感じるロッキングチェア。座面高が低く設計されており、ナーシングチェアやイージーチェアとしてもご使用いただけます。

グランドマザーズチェア

グランドマザーズチェア

タブチェア、ウィンザータブチェアと呼ばれることもあるグランドマザーズチェア。

スポークのみとシスルバックの2パターンの背もたれがあります。

チェアメイカーズチェア

チェアメイカーズチェア

椅子職人の為に作られたとされるチェアです。

リラックスして座れるゆったりしたデザインや曲げ木をふんだんに使用した贅沢なチェアです。

【ブランド】

ERCOL アーコール

ERCOL アーコール

家具デザイナーのルシアン・アーコラーニが1920年に創業したイギリスの老舗家具メーカーです。

ウィンザーチェアの伝統を受け継いだ新しいデザインを発表し、イギリスを代表する家具メーカーとしての地位を築き上げました。

第二次世界大戦後の物資不足のなか、持ち運びやすいシンプルな形をしたアーコールチェアは数多く生産され、その後、いわゆるクラシックなアンティーク家具が注目されていくと共に、ミッドセンチュリー時代のシンプルなデザインのチェアは時代とともに忘れられていきました。

再び注目を浴びるのは、2003年。英国のデザイナー、マーガレット・ハウエルが自分が使っていたチェアを懐かしく思い、スタッキングチェアとバタフライチェアの復刻を実現したことで人気が復活。英国ヴィンテージ家具の代表格として今なお根強いファンを増やし続けています。

ウィンザーチェアの特徴・機能と使用方法

①背面のデザイン

②アーム付きタイプ

③座面の窪み

④強度を増すための貫

シンプルで美しいデザインのものが多く、チェア自体も頑丈で機能的な作りをしています。

基本構造は、曲げ木の背もたれの枠や棒状の背もたれを持ち、座面にはヒップラインに沿った窪みがあります。

また、アームがあるものや脚部と脚部の間に渡す補強のための貫(ストレッチャー)が施されたものが多くみられます。

How to use Windsor Chair
ウィンザーチェアの活用術

ご自宅のダイニングチェアやデスクチェアとしてご使用いただけます。

小さなお子さんにはもちろんぴったりですが、スクールチェアの1番のポイントは強度。

大人もご安心してお座りいただけます。

使用頻度の高いカフェやレストランなど、飲食店でのご使用や待合い席としてお使いいただくのもおススメです。

①スモーカーズチェアやキャプテンズチェアのように無骨でかっこいいデザインは1脚だけで存在感があります。リビングやロビーのアクセントに。

②ホイールバックやシスルバックチェアなど背もたれに装飾のあるチェアはシンプルなデザインのテーブルにあわせて。

③ボウバックチェアとバタフライテーブルで究極のシンプル。

④ゆったりと座ることのできる大きい座面のチェアですので、カフェやレストランでくつろぎながらお過ごしいただけるようにセッティングしていただくのにもおすすめです。

Key points of choosing Windsor Chair
ウィンザーチェアを選ぶポイント

ウィンザーチェアはデザインが豊富ですので、ダイニングチェアとして使用するものやイージーチェアとしてゆったりくつろぎたいときに使用するものなど用途により様々なデザインから選択することができます。

Key points of repairing Windsor Chair
ウィンザーチェアの修理ポイント

アンティーク家具の魅力の一つが1点モノであること。そして特注品を含めて個性に合わせてオーダーメイドしたストーリーが魅力です。

① 構造面のこだわり

ウィンザーチェアは、ご家庭はもちろん飲食店でのご利用も多いため、何より強度が求められます。

そのために、構造面・装飾面・機能面と全てを損なわないよう丁寧な修理を施しています。

② ガタつき、グラつき徹底補強

ガタつき・グラつきの修理は定盤を使用して水平を出します。

またヒビ・割れには同種類の木材から埋め木をし、必要に応じて裏面から補強のための板を接着しています。その際はオリジナリティを大切にし可能な限りマイナスビスを使用しています。

③ 塗装へのこだわり

部分的に状態の悪いところ所を剥離し、できるだけオリジナルの塗装を活かします。さらに本場英国と同じ仕上げにするため、マイランズ社のナイトロステインを使用しています。

さらに透明感のある仕上がりが美しいニスによって、素材を最大限に活かし本来の雰囲気を引き立てます。

チェアは使用頻度が高いため塗膜を厚くし、また裏返すことも多いため裏面にも注意して塗装をしております。

ケントアンティーク家具に共通した修理ポイント

ケント品質

アンティーク家具を後世に残すことを目的に、世界に誇る日本の技術力と、伝統の英国材料で再現するケントクオリティの修理

Wood Work〜木工修理〜

日本の「モノ作り」の評価は世界でもトップクラスと言われています。

ケントが工場を構える静岡はその中でも家具の産地として徳川家康の時代より全国の職人が集結した「モノ作り」の聖地です。

ケントはその伝統のある静岡で家具職人を集め、若手を育てながら日本の技術を伝承しています。

新たな「モノ直し」文化を世界に向けて発信し、日本の高度な修理力を実践しています。

Paint Work〜家具の塗装・装飾金具〜

伝統と優れたモノを大切にする英国では家具を修理するマテリアルも現代に受け継がれています。

英国アンティーク家具の修理ポイントは、この時代の家具と一番相性の良い材料を選ぶ事。

ケントでは塗料からディテールの装飾金具に至るまで伝統あるイギリス製にこだわっています。それによりイギリス生まれイギリス育ちのアンティーク家具を完璧に再現し、時代の物語を秘めたアンティーク家具に仕上げています。

How to do maintenance
ウィンザーチェアのお手入れ方法

ご使用の注意点・設置場所

湿気の多い場所や直射日光のあたる場所での設置は避け、極度の乾燥を防ぐためにエアコンや暖房器具付近の設置もご注意ください。急激な温度変化や乾燥により、木の反りやわれの原因となります。

また、水平な場所に設置してください。ウィンザーチェアの場合、脚のグラつきの原因になる恐れがあります。

日常的なお手入れ・拭き方

通常のお手入れは柔らかい布でやさしく乾拭きしてください。

水拭きをする頻度が多い場合は、家具表面が乾いた後にこまめにワックスがけをすることをお勧めします。ワックスがけをすることで家具の艶だし効果があるだけではなく、水拭きに対する塗装の劣化を防止する効果にもつながります。

※水分が付着しそのままにしておくと白いシミの原因になりますので十分注意してください。

月1回のメンテナンス

定期的なワックスでのメンテナンスをお勧めしております。ワックスをかけることで木に潤いを艶を出し、アンティークの風合いをより楽しめます。また、ワックス膜により塗膜を保ち、乾燥による不具合を防止できます。

ウィンザーチェアのワックスのかけ方

汚れを拭き取ってからワックスをかけます。

詳細はこちらからご覧ください。

>>> アンティーク家具のワックスのかけ方

シミがついてしまった場合

MYLANDSファニチャークリーナーで落としてからワックスをかけます。

詳細はこちらからご覧ください。

>>> アンティーク家具の輪じみの消し方

傷がついてしまった場合

小さな傷はタッチアップペンやスクラッチカバーで目立たなくすることができます。使い方は簡単です。塗って乾かすだけです。塗るときに傷部分からはみ出さないようにご注意ください。

ガタつき・グラつきの場合

ガタつきがある場合の主な原因は家具の水平がとれていない場合に生じます。応急処置としてはガタつく隙間に何か板を入れたり、アジャスターを取り付けて各脚の高さを調整すると直ります。グラつきの場合は家具のゆるみなどから生じる揺れが原因の為、ひどい場合は家具自体の組み直しが必要となります。その場合はケントファクトリーにご相談ください。

座面の塗装がカサカサになってしまった場合

日常的に座面に着席して使用する場合や水ぶきなどを長期間にわたり行う行為、高湿度や直射日光の当たるところに設置するなど、座面が肌荒れのようにカサついてくることがあります。ワックスで落ち着かせることもできますが、綺麗に天板を整えたい場合は再塗装をお勧めします。

プロの修理が必要な場合

アンティーク家具はメンテナンス品を使用して、簡易的な補修ができる家具ですが、構造的な修理が必要な場合や、購入時の状態に復元して綺麗に使用されたい場合は、ケントファクトリーへご相談ください。お客様の家具の問題やお悩みを解決いたします。

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アンティーク家具にかける、
ケントの想い

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