History of sideboard
サイドボードの歴史と物語
Story
原形は15世紀後半からみられるサイドテーブルです。
様々なタイプが各時代を通してみられますが、基本的には壁付けのテーブルでホール・居間・食堂に置かれ、食事の際のサービング用として壁掛けの鏡と二対のトーチ(燭台)と共に置かれました。
置き場所や用途によって「ピアテーブル」などと名称が変わったり、コンソールテーブルなどに派生していきます。
17世紀中頃に入ると、「サイドカボード」とも呼ばれ始め、その名称はコートカップボードやドレッサーなどにも使われました。
その後、上部にカトラリーを収納するための壺型の容器が載った二対のペディスタルやワインクーラーと一緒に置かれ、ペディスタルサイドボードと呼ばれるように。
18世紀中頃になり、サイドテーブル自体に収納の機能をもたせ、シェラトンに代表されるようなサーペンタインフロントサイドボードやボウフロントサイドボードとなり現在の形状に近いデザインが登場します。
さらにビクトリアン期の豪奢なサイドボードを経て現在の形に。バフェはサイドボードと同義語です。
The kinds of sideboard
サイドボードの種類・ブランド・メーカー
シンプルタイプ
ボックス状にできた収納力たっぷりの定番タイプ。
食器類が多い日本の家庭にはぴったりです。
脚長タイプ
シンプルタイプ比べると収納力に劣るものの、脚が長い分デザイン性は非常に高く、様々なご用途に。
サイドボードのサーフェス(天板)に花を飾ったりオーディオ機器を置いたりと、食器棚ではなくアイディア次第でインテリアのメイン家具にもしていただけます。
コートカップボード
16世紀中頃に広まったスタンド式食器棚。
コートとはフランス語の「小さい」の意味に由来すると言われています。 重厚感たっぷりなので、ちょっと高貴な気分のサイドボードです。
ERCOL アーコール
エルム材を使用した北欧ヴィンテージのテイストを色濃く残したミッドセンチュリーモダンのアーコール社。
現代の日本の住宅環境にも合わせやすいため、非常に人気の高いアイテムです。
サイドボードの特徴・機能と使用方法
①聖母の彫刻
②武人の彫刻
③ボックス型のサイドボード
④脚の高いサイドーボード
多くのサイドボードにはそれぞれ個性豊かな伝統のある彫りが施されております。
また脚のデザインも猫脚・ツイストレッグ・バルボスレレッグなど様々です。
ディスプレイキャビネットの「見せる収納」ではなく「見せない収納」ができるのがサイドボードの特徴。もちろん見た目だけではなく収納スペースもしっかり設けられております。
How to use sideboard
サイドボードの活用術
カトラリーやキャンドル、食器など様々なものを収納できるうえ、サービステーブルとしてご使用いただけます。
また、お好みに合わせてディスプレイ兼収納棚としても。
高さが低いサイドボードはテレビ台として、本や雑誌などを置いてベッドルームの本棚としてもご利用いただけます。
①本棚として
②引き出し内には大切なお気に入りアイテムを
③壁面のディスプレイとして存在感を発揮します。
④ミッドセンチュリースタイルでまとめる
Key points of choosing sideboard
サイドボードを選ぶポイント
①ボール&クロウのレッグ
②キャスター付き
③扉の中にはさらに抽斗が
④カトラリートレー付き
部屋の大きさに合わせてサイズを優先することが多いと思いますが、扉を開けたり引き出しを引いたりすると隠し収納や引き出しがあったりと、昔ながらの機能を発見することがあります。これもまた、サイドボードを選ぶ楽しみの一つといえるでしょう。
収納力を重視する方は、脚が短めで扉が大きいものを選ばれると安定感がありおススメです。
デザイン性を重視される方は、脚の長いものを選ばれると重圧感が少なく、すっきり、エレガントな雰囲気をお楽しみいただけます。
Key points of sideboard
サイドボードの修理ポイント
アンティーク家具の魅力の一つが1点物であること。そして特注品を含めて個性に合わせてオーダーメイドしたストーリーが魅力です。
① 扉のこだわり
重要な可動部分になる為、ゆがみ・伸びなどで変形した蝶番は全て外し打ち直して修理しています。
また扉自体に反り・ねじれがある場合は、開閉に問題がないように隙間・角度の調整を行っています。
隙間は上下左右で他の部分にスレたりしないよう均等に。閉めた扉が自然に開いてきたりしないようにマグネットキャッチを採用しています。
鍵穴があるものに関しては必ず1本(以上)鍵を付属させています。その際、鍵が紛失している家具にはアンティークキーの中から合うものを探し出します。合うものがない場合はシリンダーに合わせ鍵を切削加工します。シリンダー本体が壊れている場合もアンティークの在庫から合うものを探し出し実際に使えるように取り付けを行っています。
② 抽斗(ひきだし)のこだわり
すべりを良くするのはもちろん、側板の摩耗した部分に新しい木材をつけ足します。
底板の割れ・汚れ・反りなども検品したうえで必要に応じて交換しています。
また、オリジナルのストッパーが劣化している場合は全て新しく作り変えております。
③ 塗装のこだわり
サイドボードは、脚元の色目は濃いのに対し引き出し内部が薄めだったり角部分が濃く縁どられていたりと、アンティークらしい塗装がされていることが多いため、個性を出しつつ上品に仕上げます。
部分的に状態の悪いところ所を剥離し、できるだけオリジナルの塗装を活かしています。
本場英国と同じ仕上げにするため、マイランズ社のナイトロステインを使用。そして透明感のある美しい仕上がりのニスを塗ることで、素材を最大限に活かし本来の雰囲気を引き立てるようにしております。
ケントアンティーク家具に共通した修理ポイント
アンティーク家具を後世に残すことを目的に、世界に誇る日本の技術力と、伝統の英国材料で再現するケントクオリティの修理
Wood Work〜木工修理〜
日本の「モノ作り」の評価は世界でもトップクラスと言われています。
ケントが工場を構える静岡はその中でも家具の産地として徳川家康の時代より全国の職人が集結した「モノ作り」の聖地です。
ケントはその伝統のある静岡で家具職人を集め、若手を育てながら日本の技術を伝承しています。
新たな「モノ直し」文化を世界に向けて発信し、日本の高度な修理力を実践しています。
Paint Work〜家具の塗装・装飾金具〜
伝統と優れたモノを大切にする英国では家具を修理するマテリアルも現代に受け継がれています。
英国アンティーク家具の修理ポイントは、この時代の家具と一番相性の良い材料を選ぶ事。
ケントでは塗料からディテールの装飾金具に至るまで伝統あるイギリス製にこだわっています。それによりイギリス生まれイギリス育ちのアンティーク家具を完璧に再現し、時代の物語を秘めたアンティーク家具に仕上げています。
How to do maintenance
サイドボードのお手入れ方法
ご使用の注意点・設置場所
湿気の多い場所や直射日光のあたる場所での設置は避け、極度の乾燥を防ぐためにエアコンや暖房器具付近の設置もご注意ください。急激な温度変化や乾燥により、木の反りやわれの原因となります。
また、水平な場所に設置してください。脚部の破損の原因になる恐れがあります。
日常的なお手入れ・拭き方
通常のお手入れは柔らかい布でやさしく乾拭きしてください。
水拭きをする頻度が多い場合は、家具表面が乾いた後にこまめにワックスがけをすることをお勧めします。ワックスがけをすることで家具の艶だし効果があるだけではなく、水拭きに対する塗装の劣化を防止する効果にもつながります。
※水分が付着しそのままにしておくと白いシミの原因になりますので十分注意してください。
月1回のメンテナンス
定期的なワックスでのメンテナンスをお勧めしております。ワックスをかけることで木に潤いを艶を出し、アンティークの風合いをより楽しめます。また、ワックス膜により塗膜を保ち、乾燥による不具合を防止できます。
サイドボードのワックスのかけ方
傷がついてしまった場合
小さな傷はタッチアップペンやスクラッチカバーで目立たなくすることができます。使い方は簡単です。塗って乾かすだけです。塗るときに傷部分からはみ出さないようにご注意ください。
引き出し部分
すべりが悪く感じられたらアンティーク専用のロウを塗ってください。
金具部分
乾拭きで十分です。古い金具が使われていることがありますので、取り扱いには注意してください。
ガタつき・グラつきの場合
ガタつきがある場合の主な原因は家具の水平がとれていない場合に生じます。応急処置としてはガタつく隙間に何か板を入れたり、アジャスターを取り付けて各脚の高さを調整すると直ります。グラつきの場合は家具のゆるみなどから生じる揺れが原因の為、ひどい場合は家具自体の組み直しが必要となります。その場合はケントファクトリーにご相談ください。
座面の塗装がカサカサになってしまった場合
日常的に座面に着席して使用する場合や水ぶきなどを長期間にわたり行う行為、高湿度や直射日光の当たるところに設置するなど、座面が肌荒れのようにカサついてくることがあります。ワックスで落ち着かせることもできますが、綺麗に天板を整えたい場合は再塗装をお勧めします。
プロの修理が必要な場合
アンティーク家具はメンテナンス品を使用して、簡易的な補修ができる家具ですが、構造的な修理が必要な場合や、購入時の状態に復元して綺麗に使用されたい場合は、ケントファクトリーへご相談ください。お客様の家具の問題やお悩みを解決いたします。
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