Explanation 解説
こういった引き戸になっているブックケースは当時のデザインでも非常に珍しく見つけることは困難を極めます。
スライド式の扉はオフィス用の家具のような商業用家具に使用されていたと言われていますがヴィクトリアン時代の一般住宅の家具では全くと言って良いほど見られません。
医者や弁護士、協会などで使用されることが多い為、そういった方向けに作られた可能性が高いものになります。
このブックケースはオーク材のフレームにマホガニー材を贅沢に使用しています。現在でも高級材として扱われているマホガニー材ですがヴィクトリアン時代のマホガニーは非常に高価で熱帯諸国より伐採されたものを船でイギリスに持ち込んでいました。
マホガニー材の家具は富裕層の中でも更に余裕のある人々のみが所有し、ステータスとされていました。
これほどの大きさのブックケースは当時の一般家庭に置くにはあまりにも大きく豪華であるという点とデザイン、入手した土地などからこのブックケースはおそらくマンチェスターかランカシャーの富豪と呼ばれるような家の書斎もしくは図書館に置かれていたものでしょう。