Bureau

材料:イングリッシュオーク・イングリッシュパイン サイズ:幅920mm ×奥行510mm ×高さ1000mm 制作年代:18世紀後半 イギリスにおけるビューローの歴史は17世紀後期に始まります。元々は小さなテーブルの上に、手紙などを書くため斜めの角度がついた箱を組み合わせたものが初期のビューローでした。 後にテーブル部分がチェストに変わり現在の形になっていきました。これは、機能を重視するイギリス人の考え方によるもので今でもほぼ代わらないデザインで作り続けられている人気のある家具のひとつです。

Explanation 解説

このビューローを見てみると、表面に無垢のイングリッシュオークが使われ、引き出しの中や、フレームなど内側にイングリッシュパインが使われていることがわかります。 材料にイギリスで昔から育てられていたオークやパインをふんだんに使っていることから、その土地で取れる材料を使うことにこだわった実直な職人によって作られたことがわかります。こビューローが出てきた地方から、イングランド南東部で作られたものではないかと推測されます。

Dovetail Joint 蟻継ぎ

構造を見ていくと、まず天板に見える「蟻継ぎ」と呼ばれる接合方法に目がいきます。これは一番強い接合方法といわれていますが、その分作るのに手間がかかり、通常は引き出しの前板と側板をつなげるときに使われる技法です。 この技法を家具の全体構造に使うということから、製作者の家具作りに対する誠実さが見て取れます。  

Loper ローパー

次に一番上の引き出しの脇にある、天板を開けたときに支える棒ローパー(Loper)を見ると、引き出しの高さと同じであることから18 世紀後半の制作であると考えられます。 (18 世紀前半のものは引き出しの高さより小さい特徴があります。)  

Bottom Slab ボトムスラブ

さらに引き出しに注目すると、底板に現在では使われない技法を見ることができます。 通常、底板の木目は、木の収縮を考えて横方向になる様に置くのですが、前後の向きになっていることがわかります。これは18 世紀にイギリスで作られた家具の特徴のひとつです。  

Drawer ドロワー

引き出し表面を見てみると、枠を取り囲むように薄い板が飾りとしてついています。これはコックビーディング(Cockbeading) と呼ばれる装飾法で、やはり18 世紀後半の家具の特徴です。 金具は18 世紀中期から使われているスワンネック(Swanneck)というデザインで無垢の真鍮で造られたものです。ナットが現在のものが四角もしくは六角形であるのに対し、丸型なのが金具自身古いことの証明です。  

Bracket Feet ブラケットフィート

脚の形はブラケットフィート(Bracket feet)と呼ばれる18 世紀に使われた典型的なものです。 以上のような構造的特長と塗装面の風合いから総合的に判断するに18 世紀後半に作られた約200 年以上前のものであるといえるでしょう。  

Carving 彫刻

18 世紀の家具装飾は、木目のきれいなウォールナットや熱帯地方から輸入されたマホガニーなどを薄く板状に切り、表面に貼り付けるという寄木張りが主流であり、彫刻が表面に施されることはあまりありませんでした。 そのため、この彫刻は19世紀中期のヴィクトリア時代に彫られたものだと考えられます。ただし、彫刻の繊細さから考えるといたずらに彫ってしまったものではないでしょう。  

Acanthus Motif アカンサスモチーフ

引き出しに彫られた模様はアカンサスという植物であり、古代ギリシャより建物の柱などに彫刻されてきた非常に伝統的なモチーフです。  
扉部分に彫られているのはアカンサスの葉と花そして葡萄(もしくはイチジク)のような彫刻が見て取れます。葡萄とイチジクは古代ギリシャより「生命」と「豊穣」のシンボルとして使われていました。 このような伝統を重んじ、生活の豊かを意味するモチーフを彫ることで、愛着 のある家具をよりよいものにしようとした、ビューローの所有者の人柄を想像することができるでしょう。